フジは、なぜ「ネット炎上」の標的になるのか 「韓流ゴリ押し」はあり得ないのだが…

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その結果、日本では2002年に韓国人歌手のBoAがミリオンヒットを記録、2003年にはNHKのBSが「冬のソナタ」を放送したことで、韓流ブーム(親韓ムード)に火がつき、「ヨン様」ことペ・ヨンジュンは、多くの女性視聴者のアイドル的存在となった。

逆に「嫌韓ムード」が高まるきっかけとなったのは2002年、サッカーワールドカップ日韓大会であろう。

日本は単独開催を目指していたが、結果として日韓共催となったことで、一部の日本人は韓国に対して被害者意識を抱くことになった。加えて、試合中の韓国に有利な判定や、韓国サポーターによる日本への中傷をマスコミが取り上げなかったことにより、韓国のみならず日本のマスコミに対する不信感や嫌悪感が、ネット上で徐々に強まっていった。

このように2000年代前半、「親韓ムード(韓流ブーム)」と「嫌韓ムード」に加えて「マスコミ不信」が同時に生じたのである。

このうち、コインの裏表のような関係にある「嫌韓ムード」&「マスコミ不信」は、シリーズ累計100万部を売った『マンガ嫌韓流』が2005年に発売されたことで、増幅される。この漫画では、戦後補償や日韓共催ワールドカップの問題のほか、日本文化を剽窃する韓国人の実態などを描くことで韓国を批判するとともに、それを報道しないマスコミも「反日」と糾弾したのだ。

2011年に潮目が変わった

一方、「親韓ムード」は韓国人アイドルグループのKARAと少女時代が日本でデビューした10年前後にピークを迎えた。内閣府の世論調査によると「韓国に親しみを感じる」と答えた人は2009年63・1%、2010年61・8%、2011年62・2%と高めに推移している。

このように、相反する「嫌韓ムード」&「マスコミ不信」と「親韓ムード」が同時に高まっていた2011年に潮目は変わる。同年5月に韓国の国会議員が北方領土の国後島を視察したほか、閣僚が竹島を訪問、6月には大韓航空機が竹島上空でデモ飛行を行った。また、8月には日本の国会議員団が鬱陵島(ウルルンド)を視察しようとして韓国への入国を拒まれたことで、領土問題をめぐって日韓双方が火花を散らす事態となった。

さらに、2012年8月、騒動に追い打ちをかけるように李明博大統領(当時)が竹島に上陸すると、「嫌韓ムード」&「マスコミ不信」が「親韓ムード」より前景化してきた。前述の世論調査で「韓国に親しみを感じる」と答えた人は39・2%(2012年10月)と、前年より23ポイントも減少したのだ。

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