フジは、なぜ「ネット炎上」の標的になるのか

「韓流ゴリ押し」はあり得ないのだが…

ネット上で拡散されている「フジテレビの公式見解」によると、韓流ドラマが多いという批判に関しては、《韓国制作の番組やアメリカ制作の番組も含め、どのような番組を放送するかは、総合的かつ客観的に判断し決めております》と回答している。

また、「世界フィギュアスケート選手権」で、日本の国旗掲揚、国歌斉唱シーンの放送が意図的にカットされているとの疑惑に関しては、以下のように述べている。《過去5大会のうち、3大会(08年、09年、11年)は放送をしています。07年と10年は競技の模様を優先し、優勝者へのメダル授与シーンのみを放送しています。これは、あくまでも放送時間および番組構成上の理由であり、それ以上の意図はありません》

今でも終わらないバッシング

吉野嘉高(よしの よしたか)/筑紫女学園大学現代社会学部教授、元フジテレビプロデューサー。1962年広島県生まれ。86年フジテレビジョン入社。情報番組やニュース番組のディレクター、プロデューサー、報道局社会部記者を経て09年退社。著書に「フジテレビはなぜ凋落したのか」(新潮新書)がある

このほかに、「韓日戦」の表記についての説明もあったため、一部の人に一定の理解は得られたかも知れない。しかし、フジテレビ批判の書き込みは、その後もネット上で継続し、今でも揚げ足を取るようなバッシングが日常的に繰り広げられている。

フジテレビの説明は、はたして十分だったのだろうか。正直に「商売だからやっています」という説明をすれば、身も蓋もない商業主義を露呈することになるため、公共性を担う放送局としては言いにくいという事情もあったのだろう。

しかし、韓流ドラマの放送を「総合的、客観的に決める」という説明は、あまりにもつっけんどんで、木で鼻を括ったような答えではなかろうか。具体的な判断基準や判断材料がさっぱり分からない。これらのコメントにネットの住民たちは「上から目線」を感じ取り、反発したのではないか。ネットスラングで言えば、フジテレビは「燃料を投下」してしまったのだろう。

フジテレビは、世間からなぜ批判されるのかをていねいに自己分析して番組内容を検証するとともに、視聴者に対して番組制作の内実をもっと可視化するべきだった、と筆者は考えている。ネット時代においては、自由に情報発信できる視聴者とテレビはフラットな関係であり、これだけマスコミに対する不信感がネットを中心に高まっている今だからこそ、できるだけテレビ局の仕組みを明らかにして視聴者に理解を得るべきなのではなかろうか。

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