中国の金融自由化は、どこまで進んだのか

不良債権処理と金融システムの安定化が優先

中国の金融自由化は形式的には進んだが、事実上は足踏み状態だ(写真:Imagechina/アフロ)

中国経済は人口構成の変化などによる潜在成長率の低下に加えてリーマンショックへの対応として打たれた4兆元の景気刺激策の後遺症(過剰生産能力、不動産過剰在庫の調整)を抱えている。そのため、リスクや痛みを伴う経済構造改革の推進が難しくなる中で、中国の金融自由化や人民元レート形成の自由化も、中国政府当局の発表とは裏腹に、実感としてはあまり進んでいない印象を受ける。それはなぜなのか。

金融と為替の自由化の問題を考える際、「国内金融政策の独立性」、「資本自由化」、「為替の固定相場制(ないしは為替の安定)」の三つが同時に成立しないことは「国際金融のトリレンマ」として、よく知られている。

足元の中国は、経済が国際化する中、「国内金融政策の独立性」を保ちつつ、「資本規制」「為替の安定」の状況から「資本自由化」「変動相場制」へ徐々に移行しているところだ。一方、資本自由化を進めると、1980年代の日本のように、国内金利も海外金利の影響を受けるようになるため、金利自由化についても考えねばならない。このように、資本移動、金利、為替の自由化は相互には関連しており、これらをどのように推進するかは、よく議論されるところだ。

金利自由化完了のはずだが窓口指導が続く

中国の金利自由化を簡単に振り返ると、1990年代に銀行間市場金利が自由化され、金融機関の預貸金利については、2004年10月に「貸出金利は下限を管理、預金金利は上限を管理」することになった。上限、下限は中央銀行である中国人民銀行が定める基準金利を基に決定される。たとえば貸出基準金利の0.8倍などだ。

その後8年間は自由化が進まなかったが、2012年以降、貸出金利の下限引下げと預金金利の上限引上げを徐々に進め、2013年7月に貸出金利の下限を撤廃、2015年には5月に預金保険制度を導入した上で8月に預金金利上限も撤廃し、金利自由化は完了した。

この金利自由化のプロセスで規制のアービトラージが見られたことが注目される。金融イノベーションやインターネットの応用等により、従来の金利規制のかからない分野、具体的には、シャドーバンキング(主に銀行のオフバランス取引)やインターネット金融などにおいて、自由金利商品が次々と生み出された。その結果、市場から金利自由化を催促される形で金利自由化完了の時期が早まったのである。

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