ちなみにリクルートが展開している求人情報メディアに掲載された求人情報をベースとして2007年以降の動向を確認していくと、アルバイト・パートの時給は上がり続け、平均値が1000円に近付いています。
優秀なアルバイトの採用が熾烈になっている
ちなみに大都市部では優秀なアルバイトは高い時給でヘッドハントされる時代になったようです。取材した外食チェーンでは優秀な店長に「時給はいくらもらっているの?」と客から声がかかり、
「あなたが働いてくれるなら、時給は今の倍額払うという店舗があります」
と、名刺を渡されたアルバイトが何名もいたとのこと。正社員ではなくアルバイトのままで時給大幅アップのオファー。優秀なアルバイトの採用が熾烈になっていることを示すような出来事です。
あるいはソーシャルメディアを通じてスカウトメールがきたアパレルスタッフを取材したこともありました。いずれにしても現状の時給が安いとか、もっと高い時給でのオファーがあったりすれば、引き抜きへの対抗策として時給をあげることになる状況が起きているようです。
さらに人手不足でアルバイト・パートと同じ仕事を高い時給で行える「派遣バイト」と呼ばれる働き方が出てきています。その典型が大手コンビニの店舗スタッフ。
業務はレジ打ちから肉まんや揚げ物などの調理、品出し、発注、掃除、など多岐に渡ります。この業務に関して派遣バイトは時給としては1200円以上(夜勤は1400円以上)と通常のアルバイト(昼間で900円前後)より高い時給で募集されています。これまでにコンビニの業務経験があれば勤務可能とのこと。そこで、通常のアルバイトのままで働くのは損だと考えて、店に対して
・無理なら辞めて派遣登録する
と、交渉を迫るアルバイトの人も出てきたようです。こうなると時給を大幅に上げることになります。
これは、ある意味仕方のないことかもしれません。なぜなら人手不足だから仕方ない……と同一職種同一賃金のおきてを破ったからです。同じ仕事に対して高い時給で人を採用すれば、低い時給も合わせる時期を迫られることは覚悟しておかなければいけません(正確には派遣とアルバイトで雇用条件は違いますが)。こう考えると全国一律で時給1000円ではなく、首都圏など、人手不足の著しい地域でもっと高い時給を目標設定とすべきでしょう。
さて、非正規社員の仕事領域は相当に人材不足になっています。少子化問題もあり、この人手不足を解消するのは簡単ではありません。企業はいずれ時給を大きくあげていかないと非正規社員の確保が困難になることでしょう。
こうした状況を踏まえれば、2025年に最低賃金2000円くらいの目標を掲げて、その生産性を実現するための施策を政府と民間企業が知恵をしぼるべきかもしれません。
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