「イエレンショック」の可能性は否定できない 金利上昇でスパイラル的下げというシナリオ
市場の関心は、8月26日にワイオミング州ジャクソンホールで行われる年次会合での米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の講演に集まっている。しかし、この話はすでに聞き飽きている読者が多いかもしれない。そのそも、この講演でFRBの金融政策の方向性が明確になるのだろうか。最近のイエレン議長のスタンスを考慮すれば、何も出てこないと考えるのが常識的だ。
ただし、最近のFRB関係者のタカ派的な発言を戒めるように、「金融政策の判断は海外情勢とデータ次第」とし、早期利上げに前のめりになっている市場関係者の見方を牽制する可能性はありそうだ。いずれにしても、9月20・21日に開催される米国連邦公開市場委員会(FOMC)で決定される政策を、あらかじめ公の場で披露する可能性は低いものと思われる。
米国株がバブル化している可能性
市場関係者がこれだけイエレン議長の講演に注目するのは、それだけ材料がないからである。そのため、市場関係者は今後の市場動向を見極めるために、なにかしらのヒントがないかとさまざまな指標を見ている。しかし、一般的に出回っている指標にヒントを見出すのは難しい。そうであれば、相場の方向性が明確になるまで、何もしないのがもっとも賢明な選択ではないか。いまはボラティリティも低下しており、値動きもない。しかし、このような状態が長期化することはない。いずれ激しく変動するときがくる。そのときに乗れるように準備しておくことが肝要である。
さて、今後最も値動きが出そうな市場や投資対象はどれであろうか。直感的には米国株がその候補になり得る。そこで考えたいのは、今の米国株がバブル化している可能性はないだろうか、ということだ。過去最高値を更新しているからこそ、その可能性について考えることも必要だ。現状ではバブル化していると指摘するのはなかなか難しいが、過去の歴史を思い出してほしい。2000年のITバブルの際は、異常ともいえるほど割高になった株価を、将来の成長が株価収益率(PER)に含まれているとの論理で、上値を買い上げていく動きが続いた。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら