DIC、ソーダ味アイスの青色を生む「藻」の技術 後発のM&A巧者が勝ち取った世界トップの座

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ソーダ味アイスの多くは、食用藻スピルリナから採った青色の色素を使っている

スピルリナは緑色の藻だが、「リナブルー」と呼ばれる青色の色素も採れる。ソーダ味のアイスキャンディは涼しげな青色をしているが、その多くでDICがスピルリナから採った青色色素が使われている。

DICは約30年前に大量栽培技術を確立し、いまや世界最大のスピルリナメーカーとなっている。米国で、天然由来の食品向け青色色素を生産できるのはDICだけ。今秋にはカリフォルニアに工場を新設し、さらなる需要増に応える。

パンの袋が開けやすくなったワケ

このほか、パンの袋などに使われる多層フィルムも、DICが多角化で成功した成長著しい1品だ。かつてパンやお菓子の袋は、なかなか開かず、思いきり引っ張って中身が飛び散ってしまうことがあった。しかしDICは、3つ以上の層からなる多層フィルムを開発。袋を開けるとき、接着層だけが簡単に剥がれるようにし、力を入れなくてもきれいに開けられるようにした。

多層なので、さまざまな機能を持たせることもできる。接着のほか、防湿性、酸素遮断性、保香性などの機能を各層のフィルムに持たせ、食品が求める複数のニーズに応える。DICは1970年代に、国内で初めて共押出という製法を用いた多層フィルムを開発。2014年には密封性や防曇性(くもり止め)を高めて総菜の賞味期限延長に寄与するなど性能向上を続け、多層フィルムの売り上げは拡大を続けている。

DICは、これらの多角化部門を伸ばしつつ、インキ部門の合理化を進めることで、創業110周年になる2018年に売上高9600億円(2015年比17%増)、営業利益650億円(同27%増)を目指している。同時に3年間で1500億円のM&Aを含む戦略的投資を予定している。巨額買収の失敗事例は後を絶たないが、DICは「30年間のノウハウがある」。心配ご無用というわけだ。

筒井 幹雄 東洋経済 記者

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つつい みきお / Mikio Tsutsui

『会社四季報』編集長などを経て、現職は編集委員。

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