ネスレが日本で起こした“奇跡” 逆風吹き荒れる中、業績が絶好調
背景には、儲かる市場の“発見”と“選別”という2つのポイントがある。
発見”という観点で象徴的なのは、キットカットとネスカフェ バリスタの取り組みだ。
キットカットは販促活動を大胆に転換
キットカットでは、30億円も投入していたテレビCMを02年に大きく圧縮。「きっと勝つ」という語呂合わせで、受験生が宿泊するビジネスホテルでサンプルを配布するキャンペーンを始めた。これが口コミで広がり、今では受験生の必需品ともいえる“願掛けアイテム”の地位を築いた。販促活動の大胆な転換により、成熟商品でも儲かる市場を見つけた。
09年から展開するネスカフェ バリスタは、安定的に収益の上がるストック型のビジネスという儲かる市場を発見した商品だ。マシン本体ではそれほど利益は出ないが、インスタントコーヒーが入った詰め替え用の専用リフィルを、顧客に繰り返し買ってもらう仕組みだ。マシンの販売台数は13年2月末の累計で125万台を突破。年間100万台が入れ替わるとされるコーヒーマシン市場では大健闘の数字だ。
これまでは、家庭での使用が中心だったが、足元ではオフィス需要の本格的な開拓にも乗り出している。日本には約600万のオフィスがあるといわれるが、昨今はコスト削減のためにコーヒーマシンを置かないオフィスも多い。そこでネスレ日本は12年11月に「ネスカフェアンバサダー」というサービスを始めた。
これは、ネット上でネスカフェアンバサダーとして登録すると、ネスレ日本からコーヒーマシンと貯金箱が送られてくる仕組みだ。アンバサダーはクレジットカードを使ってコーヒーを注文し、マシンを使ってコーヒーを飲む。同僚にはコーヒーを飲むたびに20円を貯金箱に入れてもらう。
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