ネスレが日本で起こした“奇跡” 逆風吹き荒れる中、業績が絶好調

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ネスレ日本の高岡浩三社長’(撮影:今 祥雄)

すると1カ月半後にはリフィル1缶が消費され、代金も回収できている。オフィスにおけるコーヒーマシン1台当たりのコーヒー飲用量は、家庭用の10倍を見込める宝の山。ネスレ日本の高岡浩三社長は、「途方もなく大きなオポチュニティ」と期待を寄せる。

ネスカフェアンバサダーのライバルは、コンビニのコーヒー(100~150円)や自動販売機の缶コーヒー(120円前後)。バリスタの強みは、「たった20円でおいしいコーヒーが飲める」(高岡社長)こと。サービスの出足は上々で、ネスカフェアンバサダーへの応募は3カ月で6万人を突破。13年には累計10万人以上を見込む。

不採算商品は徹底して見切る

一方、“選別”という観点では収益性を厳格に判断して、儲からない商品を見切る戦略を徹底している。12年はペットフードや業務用製品など利益率の低い商品を中心に、商品数の2割を削減した。

この結果、ネスレ日本の営業利益率は、「日本の一般的な大手食品メーカーの4~5倍はある」(高岡社長)という。ただし、ネスレ日本の地位も盤石ではない。消費者の嗜好は多様化し、流行の移り変わりも激しい。すぐに飽きられないような、新しい仕掛けは絶えず求められる。

平松 さわみ 東洋経済 記者

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ひらまつ さわみ / Sawami Hiramatsu

週刊東洋経済編集部、市場経済部記者を経て、企業情報部記者

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