アベノミクスは歴史の教訓を何も学んでない 通貨安政策は格差を拡大させるだけ

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私の新刊メリカの世界戦略に乗って、日本経済は大復活する!』(東洋経済新報社)では、2000年代に入ってこの政策がまったく機能していないことを検証しています。経済学者は経済学の狭い領域に閉じこもって物事を考えるために、こういった間違った理論がいまだに正しいと思っているばかりか、物事の道理や本質が見えなくなってしまっています。

クルーグマン教授やバーナンキ議長が間違っていても、正しいと評価されているところに、権威の前では反論しない経済学の病理を見出さずにはいられません。

金融緩和論者は、自民党の小泉純一郎政権下の円安バブルの時に、なぜ国民の所得が上がらなかったのかをしっかりと学ぶ必要があるでしょう。金融危機後のアメリカや韓国の通貨安政策でも、インフレが国民生活を苦しくし、格差を拡大させるだけだったという歴史の教訓を真摯に学ぶ必要があるでしょう。

日本はデフレであるからこそ、アメリカや韓国と比べて国民の実質賃金が大きく下がらずに、マシな生活ができているのです。歴史を教訓として学ばない経済学の危うさを、切に感じている昨今です。安倍首相の知恵袋である識者たちの考えは完全に誤っていると思うのですが、そんな「権威の危うさ」は数年以内に証明されるのではないでしょうか。

(撮影:尾形 文繁)

中原 圭介 経営コンサルタント、経済アナリスト

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なかはら けいすけ / Keisuke Nakahara

経営・金融のコンサルティング会社「アセットベストパートナーズ株式会社」の経営アドバイザー・経済アナリストとして活動。「総合科学研究機構」の特任研究員も兼ねる。企業・金融機関への助言・提案を行う傍ら、執筆・セミナーなどで経営教育・経済教育の普及に努めている。経済や経営だけでなく、歴史や哲学、自然科学など、幅広い視点から経済や消費の動向を分析しており、その予測の正確さには定評がある。「もっとも予測が当たる経済アナリスト」として評価が高く、ファンも多い。
主な著書に『AI×人口減少』『これから日本で起こること』(ともに東洋経済新報社)、『日本の国難』『お金の神様』(ともに講談社)、『ビジネスで使える経済予測入門』『シェール革命後の世界勢力図』(ともにダイヤモンド社)などがある。東洋経済オンラインで『中原圭介の未来予想図』、マネー現代で『経済ニュースの正しい読み方』、ヤフーで『経済の視点から日本の将来を考える』を好評連載中。公式サイトはこちら

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