「異次元の低金利」が定着する理由 市場動向を読む(債券・金利)
一方、後者の国債償還対策ニーズは、投資家に「買いたくても思うように買えないリスク」を意識させ始めた。来年度も今年度に引き続き、数年前の量的緩和・ゼロ金利解除後に発行された相対的にクーポンの高い5年債が大量償還を迎えるからだ。
今回は日銀の「異次元緩和」で異次元の需給逼迫に
その市中発行残高による加重平均クーポンはちょうど1.0%! 現状の0.1%の何と10倍という高さである。新生・日銀による「異次元の大胆緩和」策によって現状の低利回りが来年度中も続くとした場合、5年債の償還対策では、クーポン収入の落ち込みを避けるべく、償還元本の最低10倍の金額で再投資するか、もしくは利回り水準の高い長期債や超長期債に乗り換えていく必要がある。ちなみに、「最終利回り1.0%」を求めて国債イールドカーブをたどっていくと、「目的地」は3月4日時点で、20年超長期債の残存14年物あたりである。
こうした情勢下、新生・日銀が「異次元の大胆緩和」策として長期国債の大規模購入を敢行していけば、債券需給がかつてない逼迫状態に陥ることは火を見るよりも明らか。来年度の債券需給に死角はなさそうだ。この点、つまり債券市場がこのような買い安心感を抱き始めたことが、高値警戒感から自壊してしまった2003年時の需給相場との大きな違いである。「異次元の大胆緩和」によって“異次元の低金利”が定着し、案外、長期化していく可能性が高まっている。
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