「異次元の低金利」が定着する理由 市場動向を読む(債券・金利)

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ところが、高値警戒感は性懲りなく薄れつつあるもよう。だとすると、2003年当時と類似のいわゆる需給相場が再現され、長期金利が過去最低レベルに向かって低下する蓋然性も高まったと判断せざるを得ない。歴史は全く同じということはないものの、やはり繰り返す習性があるようだ。こうした考えから、長期金利の予想レンジ下限を、さしあたり大きな心理的節目である「0.50%」に引き下げた。

2003年は国債管理政策に期待しての楽観論

ところで、2003年6月の需給相場(による著しい金利低下)も、日銀執行部人事が一因だったことは奇妙な符号である。債券市場は当時、日銀の新総裁に福井俊彦・富士通総研理事長が、新副総裁の一人に武藤敏郎・前財務次官が内定したことを受け、債券需給動向を巡って我田引水的な思惑を共有したのだった。それは「政府(財務省)と日銀が今後タッグを組んで国債管理政策を強化し、適切に運営していくので、債券バブル崩壊は未然に回避されるだろう」という楽観論。

債券市場は今般も、前述したように日銀執行部人事の“新聞辞令”を根拠に、債券需給の先行きの引き締まりを予見し始めた。それによって根深かった高値警戒感を克服し、様子見に徹していた長期債・超長期債投資を、金利低下にもかかわらず再開せざるを得なくなったのだ。

そんな債券市場の背中を押したもう一つの要因は、「今年度末の債券残高積み上げニーズ」と「来年度の国債償還対策ニーズ」というのっぴきならぬ事情だろう。

前者はすなわち新年度の債券運用態勢の準備のこと。ここもと金利先高観が大きく後退したので、債券投資方針は来年度も、一般的には“資金収益の最大化を主眼とするキャリー運用”が常道になりそうだ。その場合、今年度末までに債券保有残高を極力多く積み上げておく必要がある。

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