「異次元の低金利」が定着する理由 市場動向を読む(債券・金利)

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2月最終週だった先週、東京は平年より寒い日が続いた。にもかかわらず、債券相場は久しぶりに熱を帯びた。長期金利が昨夏以降の変動レンジの下限だった心理的な節目の0.70%から下放れしたのだ。4日には0.60%ちょうど、5日には一時0.585%と、過去最低の0.430%を記録した2003年6月以来の低水準まで突っ込んだ。

そもそも2月は、アベノミクス期待を反映した円安株高基調という「安倍相場」が持続していたにもかかわらず、長期金利はそれを無視する格好でスルスルと低下していた。背景は、今月20日ごろに船出する「新生・日銀」による「異次元の大胆緩和」(安倍晋三首相)の前倒し観測である。

白川方明日銀総裁が2月5日、自らの任期満了(4月8日)を待たず、2人の副総裁の任期である3月19日に合わせて辞任する意向を表明。債券市場はそれを受け、強力な追加緩和策も前倒し実施される、との見方を強めた。

日銀総裁、副総裁候補発表で「異次元緩和」に現実味

そして2月25日、朝刊各紙が「黒田東彦総裁(現・アジア開発銀行総裁)、岩田規久男副総裁(現・学習院大学教授)、中曽宏副総裁(現・日銀理事)」という日銀新執行部の国会同意人事・政府案をリーク。黒田・岩田両氏が日銀批判の急先鋒、かつ量的緩和強化による脱デフレ論者として知られている。

したがって、債券市場は「異次元の大胆緩和」として長期国債の大規模購入、無制限購入が現実味を帯びてきたと判断した。債券需給の引き締まりによる金利低下という金利先安観が強まるなか、少しでも高い運用利回りを確保しておこうとする長期債投資が拡大し始めたのだった。

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