お母様に単刀直入に、お願いと注意をするべきです。家族への不満は、直接本人に言うべきで、聞かされる方はそれが事実であれ被害妄想であれ、本当に聞きづらいこと。直接話しにくくて、間接に伝えて欲しいことだけは聞く耳を持っていること。これは姉妹3人で申し合わせていることなどです。
愚痴ることで同情を求めている人は多い
愚痴や他人の悪口しか話題にできない人がいます。直接本人にぶつけて、その不満を解決する意思や勇気のない愚痴です。多くは他者をけなすことで、自分がいかに正しいかをほのめかしています。
その人の生きている世間がとても狭くて、その中で自分がいちばん大切に扱われたい願望が強い人に、この傾向があります。たとえば母親ならあっちの子どもの愚痴をこっちの子どもに言い、返す刀でこっちの子どもの悪口を、あっちの子どもに言います。その内容も教育的な観点ではなくて、自分に対していかに優しくないかなどの愚痴そのものです。ときにはあらぬおヒレをつけて、お互いが憎しみ合うような告げ口もします。
それで子ども同士がいがみ合おうと、それぞれから自分がよくしてもらうことが目的ですから、それはお構いなしです。結局は自分の値打ちと信用を落としているだけで、そして私の母に言わせれば、自分の指を自分で噛んでいるようなものなのですが、このような人は案外多く、私の周囲にもいっぱいいます。
これを放っておくとどうなるかを、次にお話したいと思います。
ここで恥を忍んで、私の3人いる姉の中の2人の悪口を、言うことにします。世間知らずな末っ子の私が、いつのまにか姉たちと、対等に世間話ができる年齢になったときのことです。姉たちの一番の話題が、20年以上も前に鬼籍に入った姉たちの姑の悪口であることを知りました。自分がいかに苦労したかや、それを強いた姑がいかに悪いかを、延々と繰り返し愚痴るのです。
それを昨日のことのように生々しく、泣いたり怒ったりしながら飽かずに話す迫力に驚きました。相手は亡くなっているのですから、新しいネタはありません。時効もなく、初めて話すように同じ話を繰り返します。姉たちはそれを繰り返すことで、不幸を反復しているに過ぎない情けない人に見えました。亡くなった人にまだ支配されています。
それで私は姉たちに言いました。その姑さんの話は、私の前でいっさいしないでほしい。何回も聞いたし、面白くないし、参考になる話でもない(実際はこのコラムを書かせていただくうえで大いに参考になっていますが、当時はこんなに、将来コラムを書くうえで役立つ話だとはわかりませんでした)。そして「いつも姉たちが帰った後はあと味が悪く、姉たちが時間泥棒に見える」とまで言ったのです。
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