一人の姉は、次から次と話題は変えますが、勿論全部30回は聞いている姑の悪口です。「聞いた」と言えば止めますが、すぐに戻ります。それでも注意する前と後では随分違いました。
この姉は情が深く人柄が良いだけに、この一点はとても残念な欠点です。年を追うごとにほかの思考回路は壊れ、壊れて欲しかったこの悪い回路だけが残ったような生き方をしています。
そういえばこのタイプのある友人と、とても美しいバンクーバーの海のクルーズ船に乗っていたときの思い出があります。船内のよい席に座り、絶景に歓声を上げる私の横で、何やら涙を流してもう一人の連れとしみじみ話しています。何十回と聞いた、昔に意地悪された人の悪口でした。
「時間とおカネをかけて、こんなにすばらしいところに来て、話題がそれ?」とあきれますと、「その人の話をして涙を流すのが、自分の一番のストレス発散なのだ」と言って、さらに泣かれました。
ちょっと長くなりましたが、もうお気づきですね。愚痴っぽい人は愚痴の対象そのものより、愚痴ること自体が生き甲斐と化します。付き合わされる人の迷惑など考えません。皆がその湿っぽい話に興味があると信じています。どこかで誰かが止めないと、年を追うごとにひどくなります。そして周囲から人が遠ざかっていくのです。
欠点を指摘するのは身内の務め
もう一人のちょっとだけ賢いほうの姉は私の注文に、「それなら話すことは1つもなくなる。あんたは難しいこと言う子やな」と言いながら、姑の話題になりかけては自分でブレーキをかけました。効果は絶大で、生涯その姉は、私の前では姑の話を持ち出さず、しかもそれ以外の話題でも十分に姉は楽しかったらしく、最後まで私宅に来るのを楽しみにした人でした。
他人なら、嫌な人には近寄らなければ済む話ですが、身内だとそうはいきません。しかも放っておくと他人に迷惑をかけることになるのですから、欠点を指摘するのは身内の責任とも言えます。これには年代の序列は関係ありません。
有希様のお母様の場合は、誰もその役目を果たしてはいませんね。すでに社会人になった姉妹3人で(一緒でなくとも)、娘たちの陰口は3人に筒抜けであること。これからは直接に言えないことは、陰で言わないこと。離婚すれば食べられなくなるから離婚しない理由だけでも、お父様に感謝しなければならないこと。娘や娘婿の前で、お父様をけなさないこと。喧嘩は2人だけでやってほしいことなどをはっきりと伝えるべきです。
即効性がなくとも、あなたたちの強い意思で繰り返し伝えていけば、絶対に何らかの効果はあると思います。それが一番、お母様のためなのです。
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