ポケモンGOは「優しい世界」を実現できるか 日本中の公園がキレイになる可能性がある!

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鶴見川ではリアルポケモンイベントが開かれ、ゴミ拾いを行っていた

筆者がナイアンティックの前作である「Ingress」を遊ぶ際にも頻繁に訪れていたお寺さんに設置されている「ポケストップ」にリリース翌日(7月23日)に行ってみたところ、たくさんのゴミが散乱していました。

一方、神奈川県を流れる鶴見川では同日、流域環境学習者施設の綱島サブセンター主催で、リアルポケモンイベント、つまり魚釣りと、昆虫採集と、ゴミ拾いを合わせたイベントが開かれており、ゴミ拾いを行っていました。

この状況では、ポケモントレーナーたちは肩身の狭い思いを感じます。「画面の中で虫集めをして何が楽しいんだ」というデジタルディバイド(情報格差)の向こう側の人の意見に、心あるトレーナーほど「ポケモンGOを遊んでいる」と胸を張って言えなくなるのです。アルカリイオン水として水素水を飲んでいるにもかかわらず、「なんで効能の怪しいものを飲んでいるの?」という目線を感じ、なぜか肩身の狭い思いをしている人のようなものです。

各所で街との不協和音は生じています。レアポケモンの「巣」として有名な錦糸公園は、芝生が剥がれ、立ち入り禁止エリアが設けられ、公園の利用客に不利益が生じています。こうした問題に関してナイアンティックは、ログイン画面で注意を促す、という最低限の対策も行っていません。

ナイアンティックは「ご近所付き合い」をすべき

こうしたゴミ問題・環境破壊問題を解決する方法は、いくらでも考えられます。

ゴミ問題は、指定エリアで使用するルアーモジュールの売り上げをナイアンティックが公園を管理する自治体に寄付することによって、防げる場合がありそうです。

世田谷公園では、トレーナーがゴミをゴミ箱までは持って行ったものの、ゴミ箱があふれていたためにゴミ箱周辺にゴミを放置しているために問題が起こっています。これについては、ナイアンティックがゴミ回収の回数を増やすための資金を自治体に提供すれば解決しそうです。少なくともゴミ箱までゴミを持っていく程度には、モラルのある人が捨てたゴミであるのは間違いないからです。

現状起こっているポケモンGOに起因するゴミ問題、環境破壊問題に関して、ナイアンティックに求められているのは「リアルなご近所付き合い」だと思います。これほどの規模で「世界中をゲームフィールドに」ということを実現してしまったイノベーターには、その運営ポリシー自体にパラダイムシフトを求められているのではないでしょうか。

2013年の話ですが、神奈川県鎌倉市は海水浴場の維持費に充てるため、海水浴場のネーミングライツ(命名権)を募集しました、そこで「鳩サブレー」で知られる、地元和菓子メーカー豊島屋が名乗りを上げました。10年で1億2000万円という費用です。にもかかわらず、愛称を自社ブランドとはせず、「材木座」「由比ガ浜」「腰越」と元からある地名から命名し、その名を上げました。

これは「ご近所付き合い」的には、非常に効果の高いマーケティングでした。海水浴場に「鳩サブレー」が迷惑をかけていたわけではもちろんなく、「恩返し」として豊島屋は海水浴場の管理費用を負担し、住民にはなじみのある名称のまま使える環境を提供したのです。

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