経済成長への「病的な執着」は日本を滅ぼす

異端の経済学者・セドラチェク、吼える

――まり、成長のほうが恐いと……。とはいえ、私たちには経済的な豊かさを追い求めてしまう部分があります。

私たちが生きているこの文明では、自分を知ろうとするとき、自分で自分を定義するときに、やっぱり「消費」で定義している部分があります。おカネがなければ何もできないという愚かな考え方、それは人間の本能です。

たしかドイツの哲学者だったと思いますが、おカネを川にかかる橋にたとえたんです。橋はそこにあるけれど、紙で造られた橋を渡ることはできない。おカネは架け橋であると同時に、障害物にもなりえるんです。

そういう意味では、コピーライトのもつ矛盾というものもあります。私が何か発言したときに、それで報酬をもらって私は生きていけるのですが、一方で、そういうおカネが生じると、おカネがない人のところには私の話が届かない。でも、私の欲望としては、誰にでも私の話を知ってほしい。

稀代のオルタナ経済書『善と悪の経済学』誕生秘話

――なるほど。「おカネを儲けたい」という経済的な欲望と、「多くの人に知って欲しい」という欲望とは、矛盾するものなんですね。

その通りです。実は、私の本、『善と悪の経済学』も、必ずしも資本主義の論理で生まれたわけではないんです。

原稿をちょっとだけ書いて、飲みに行ったら、ある人と出会ったんです。そこでいっしょに3杯くらい飲んだら、その人、自分は出版社の人間だって言うんですよ。そして、「うちで本を出さないか」というオファーをいただいたんです。私はよく新聞記事などは書いていたので、それでたぶん彼も私に近寄ってきたんだろうな、と思いました。

私も、一応その話に乗って、世界で初めて『ギルガメシュ叙事詩』を経済学的に扱った話も入れようとなったんです。

その後、第1章のはじめの部分を12ページくらい書いて彼に渡しました。すると、彼から電話がかかってきて、「面白くて、もう徹夜で読みました」と言われました。そして、自分は実は出版社の人間ではないけれど、なんとか本にしましょう、と言ってくれたんです。

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