本番で「勝つ人」と「負ける人」の決定的な差 最強の金メダリストは「単純」に実行している

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ジム「君がレースですべきことは何だ?」

選手「メダルをとること、相手を負かすこと、賞金を勝ち取ることです」

ジム「いや、違う。君がすべきことは、A地点(出発点)からB地点(ゴール)までできるだけ速く泳ぐことだ。速く泳ぐことは、ライバルやメダルとは関係ない。大事なのは、自分がすべきことに集中することだ。速く泳ぐために必要なこと、つまり、レースプランとテクニックに集中する。それだけだ。メダルとか、おカネ、情熱、レーン、ほかのスイマー、ソーシャルメディア、マスコミ、そんなものは君の足を引っ張る騒音でしかない。そんな無関係なものを気にしていたら混乱するだけだ。単純に考えようよ」

「たいへんな仕事」を「単純な仕事」に変えるコツ

ジムは、レースの前に手か足の甲に文字を書くことを勧めています。言葉や記号でもかまいません。手の甲と足の甲はレースに臨む選手の視界に必ず入ります。そこに「キュー(合図)」を描いておけば、それを見て、心を落ち着け、「単純な仕事」に集中すればいいことを思い出すのです。単純な仕事――それはつまり、出発点からゴールまで、できるだけ速く泳ぐことです。

スタート直前、多くのアスリートが迷って自信を失いかねない瞬間、そのキューが目に入れば寸時に自分の仕事に集中することを思い出します。キューが「隣のレーンのスイマーやメダルのことなど忘れろ。ただ泳げ!」と呼び掛けるからです。

この方法はスイマー以外でも使えるかとジムに尋ねたところ、彼は自信満々で「もちろん」と言いました。

「4人の子供をもつ専業主婦がいるとするね。父親は遅くまで働いているから、母親が4人全員の送り迎えをしなければならない。母親には1人でこなしきれないほどの用事がある。食料品店に行って、夕食の材料も買わなければならない。

そんなとき、手の甲に“食料”と書いておけば、どんなに込み入った状況になっても、食料品店に寄ることを思い出す。混乱から1歩離れて、深呼吸して、店に向かえと伝えるからだ。そして、任務が完了する!

たくさんの仕事をこなすと有能に見えるが、優先順位を決めて、仕事の数を管理できる範囲に留めないと、きりきり舞いして、しかも質が低下する。仕事を細分化して、1つずつ片づけ、ほかのタスクを思い出させるキューを利用すれば、すべてのタスクを効率よく、質を落とさずに予定どおりに行うことができるよ」

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