高島屋に学ぶ、高齢者の”戦力化”最前線 「改正高年齢者雇用安​定法」なんて怖くない

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――再雇用制度の概要をお話しください。

60歳定年を迎えた段階で退職手続きを行い、退職金なども支払う。そして再雇用を希望する人たちを再雇用基準に沿ってコースに分け、1年ごとの有期契約で再雇用する。

中川荘一郎
高島屋 人事部人事政策担当次長
1991年株式会社高島屋に入社。大宮店営業第4部(食料品)に配属後、総務部にて経理、人事、総務を担当。2000年3月百貨店事業本部関東事業部企画室にて店舗政策等を担当。2003年3月より現職。全社の人事政策(各種人事制度、要員採用計画、ワーク・ライフ・バランス等)の立案・推進を行う。社外においても「女性の活用」「パートの活用」「ワーク・ライフ・バランス」等のセミナー・フォーラムでの講演や寄稿を行う。共働きのため、炊事、洗濯も日常的にこなす

60歳で定年退職する人数は、社員100200人、有期雇用の人200300人で、トータル400人ほどだ。そのうち再雇用を希望する人は約7割で300人くらい。これまではその300人全員を再雇用するわけではなく、健康状態と定年前の人事考課による再雇用基準に合わないごく一部の人の再雇用は行っていなかった。

ただ、今回の高年齢者雇用安定法は、再雇用の対象者を限定する仕組みを禁じているので、4月以降は希望者全員を雇用することになる。

――再雇用制度のコースについて教えてください。

再雇用コースはいずれも60歳までのキャリアを前提としている。まずプロフェッショナルな技術・技能を持つ3コースがある。部長職経験者から会社が要請する専門嘱託コース、プロの販売営業職はスーパーセールスコース、特定の技術・技能を有す人は技術技能キャリアコース。この3コースに就く人は高島屋にとって不可欠の人材という位置づけだ。この3コースはプロフェッショナル人材の再雇用制度だ。

フルタイム勤務は2コースに分けられる

定年に達した者(部長経験者もそれ以外の社員も、有期からも)が再雇用される再雇用コースにはフルタイム勤務と短時間勤務がある。フルタイムのコースを「キャリアコース」と呼び、上位のマスターコースと下位のレギュラーコースがある。

もうひとつの短時間勤務のコースを「シェアードコース」と呼び、これも年間1458時間勤務のアドバンスコースと週22.5時間勤務のレギュラーコースの2コースがある。ェアードはワークシェアリング的要素が強く、週22.5時間のレギュラーコースなら週37.5時間と週54.5時間から選ぶことができる。

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