高島屋に学ぶ、高齢者の”戦力化”最前線 「改正高年齢者雇用安​定法」なんて怖くない

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この厳しい環境で生き残るために、百貨店各社はさまざまな手立てを講じてきた。効率化のために店舗を閉める百貨店もあれば、規模を求めて合併や提携をする百貨店もあった。

中川荘一郎 高島屋 人事部人事政策担当次長。

しかし、高島屋は経営環境が悪化しても雇用に手をつけることはせず、社員の生活の安定を図ってきた。とはいえ店舗スタッフの中身は変わってきた。高島屋の社員は有期雇用者を含め、単体で1万人、グループで15000人だが、その数倍の人員が取引先から百貨店に派遣されてフロアに立ち、お客様に対応している。

――再雇用制度についてお聞きします。その背景について教えてください。

再雇用制度を導入したのは2001年だ。導入に先立ち、1998年から福祉関連の施策・制度をゼロベースで見直した。見直しの背景には、業績・株価が低迷し、健康保険や企業年金などの財政悪化も進行していたことがあった。

また、この時期は介護保険法の施行や、公的年金の受給開始年齢が引き上げられるという大きな動きもあった。そこで社員の「退職後の生活」「介護」「健康」を3つの柱として検討を進め、「退職後の生活」への不安を払拭するための新しい人事施策として再雇用制度を導入した。

ノウハウやスキル伝承のため、ベテランが必要

再雇用制度を導入したもうひとつの理由は、世代交代だ。当時の従業員の年齢構成では45歳以上の男性が全体の半分程度を占めており、彼らが定年退職していなくなると、円滑な世代交代に支障を来たすことが明白だった。ノウハウやスキルの伝承を促すためにもベテランに残ってもらう必要があったのだ。

2001年に再雇用制度を導入し、法令改正や世の中の動きに合わせ、2006年と2009年に制度を見直して現在に至っている。

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