1ドル90~93円で下値固めなら、円安は継続 ディーラー歴20年の達人が読む為替

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黒田氏は、最近も日銀に対して「物価安定の責任を中央銀行として果たしてこなかった」と日銀に対して厳しい発言が目立った。また、金融政策に関しては「2%の物価目標導入は正しい。達成期限は2年ほどだ」「日銀が目標達成のためにあらゆる手段を動員することが重要だ」と明確に語った。さらに、為替に関しては「アベノミクスが影響を与えたかもしれないが、行き過ぎた円高是正のプロセス」「円高是正のための外債購入は、介入なので財務省の専管」などと話している。

一連の発言からは、インフレ目標の2%達成に積極的な姿勢がうかがえる。「金融政策だけではデフレ脱却は難しい」と主張していた白川方明・日銀総裁と対照的だ。一方で、円高是正の手段として、日銀による外債購入を主張していた岩田一政氏や、伊藤隆敏氏に対して、外債購入には消極的な姿勢を取っているのも興味深い。

黒田氏は国際金融局長、財務官と長く市場にかかわっており、今までで為替の実務知識がもっとも豊富な日銀総裁の誕生となるのかもしれない。実際、介入やG7、G20などの国際会議では、各国当局のカウンターパートとのすり合わせが重要だ(もちろん総裁自らというより、事務方が汗をかくのだが)。その意味では元国際局長、元財務官としての「通貨マフィア」の豊富な人脈、アジア開発銀行での国際人脈は黒田氏の大きな武器になるだろう。

また、副総裁として、国際市場をもっともよく知る総裁、学者としてリフレ論を主張してきた岩田規久男氏、日銀理事から日銀きっての国際派の中曽宏を起用するというのであれば、実務家と学者のバランスをとったという意味で絶妙だ。

安倍政権の「姿勢」を市場は好感、日経平均株価は25日に1万1622.円52銭、TOPIXも981.80ポイントと、とともに年初来高値を更新した。ドル円も1ドル=94円50銭付近の高値をつけ、豪ドル円も1豪ドル=97円35銭~40銭付近と高値圏まで上昇した。ユーロ円も2月6日の高値1ユーロ=127円付近からは下落していたが、25日は反発、市場のリスクオンモードは加速していた。

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