1ドル90~93円で下値固めなら、円安は継続

ディーラー歴20年の達人が読む為替

だが、株高、円売りモードに冷水を浴びせたのがイタリアの選挙結果だった。事前に優勢が伝えられた緊縮財政派の中道左派は、下院では過半数を獲得したが、上院では中道左派連合、ベルルスコーニ元首相率いる反緊縮の中道右派、反緊縮、反ユーロの五つ星運動、さらにモンティ氏率いる中道派、いずれの政党も過半数を獲得できず、政局が一気に不透明になった。このため、株安、円高のリスクオフの動きが加速した。日米首脳会談、日銀総裁人事という好材料がイタリアにかき消されたわけだ。

しかし約20年にわたるデフレに疲れた国民の多くは脱デフレを望んでいるに違いない。総裁候補に誰の名前が挙がっても、その政策手段は比較的近いものになったであろう。正直なところ、2年でインフレ率2%はハードルが高いかもしれない。ただ、日銀が積極的な金融緩和期待をこれからも市場に抱かせることができれば、株高、円安の流れは続くだろう。

予想される金融緩和策は?

日銀の新執行部の発足は、国会承認などが順調なら3月20日だ。初回の金融政策決定会合は4月3日、4日となる。その前に臨時会合の招集などがあればサプライズだが、まずはこの両日の会合で「新日銀」が追加緩和策を打ち出すかどうかに注目が集まる。

予想される緩和策としては、1)資産買入れ基金等の10兆円程度の増額、2)無期限方式で行われる2014年以降の国債買い入れ額を現在の2兆円から増額、3)買い入れ対象となる国債の年限を5年程度へ延長、4)日銀準備預金に対する付利金利の下げ、あるいは撤廃、などが考えられる。

26日には10年債利回りは一時0.675%と2003年6月以来の水準に低下、5年債利回りも0.115%に低下し、日銀への金融緩和期待とイタリアショックを受け、債券利回りが一段と低下した。

今回の株式市場、為替市場の調整は、上昇ピッチが早かっただけに、ちょうどよい下落なのかもしれない。早すぎる円安の一服で政府関係者も、買い遅れた投資家もほっとしているのではないだろうか。今後、ドル円は1ドル=90円~93円、ユーロ円は1ユーロ=117円~122円のレンジを下固めできるかが大切だ。また、日銀の新体制の下、市場で追加緩和期待が、浸透していくようなら、円安、株高の流れは継続すると見る。

(撮影:尾形 文繁)

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