為末さん、これから何を仕掛けますか?

スポーツとビジネスの接点を探る

ビジネスパーソンにとって、論理的な思考はとても大事な能力です。ただ、それだけでは、インパクトのある事業を創造することはできません。
「インパクト志向」については、『インパクト志向』(田中裕輔著)の中で、詳しく説明されている。
いちばん大切なのは、「思考」ではなく「志向」です。「限られた人生の中でどんなインパクトを与えたいか?」――それを考え抜き、世の中のイシュー(重要な問題)を解決することによって、インパクトある事業が生まれるのです。

この連載では、『なぜマッキンゼーの人は年俸1億円でも辞めるのか?』『インパクト志向』の著者であり、靴のネット通販を営むロコンドの田中裕輔さんが、 各界で大きなインパクトを与える新世代リーダーと対談します。第3回目は、スポーツという枠を超えて活躍する、元プロ陸上選手の為末大さんです。

 過去の対談はこちら:

(その1):為末さん、スポーツの目的って何ですか?

(その2):為末さん、スポーツ界は息苦しいですか?

失敗はコロンブス時代の「魔物」

為末:田中さんは、バークレーには留学で行かれたんですか?

田中:MBAで2年間行っていて、その後、半年ぐらいサンマテオ(カリフォルニア州)のあたりで働いていました。

為末:MBAってどんな感じなんですか? 激しいっていう話ですが。

田中:すごくいいと言う人もいますけど、私はあんまりよくないという派で。良くも悪くも普通の授業なんですよ。MBAはちょっとブランディングがよすぎる感じがしますね。なんか、経営のすべてが学べるみたいなイメージがあるんですけど、私は日本の経営本を10冊も読めば、カバーされる内容が多いなあと。MBA自体の効果はあんまりなかった気がします。

為末:そうですか。

田中:MBAに興味がおありですか?

為末:本当は北京オリンピックの後に行こうかなと思ったんですけど、ロンドンを目指すことにしたのでやめて。

田中:私の場合はMBAよりも、アメリカで異文化に触れたことが大きかったですね。いろいろな学びがありましたが、いちばんの学びは失敗に対する許容度の高さです。それまで私はマッキンゼーしか経験してなくて、外資系の自分ですら、転職して失敗したら怖いという気持ちがありました。でも、アメリカに行ったら、失敗してもいいじゃないかと思うようになったんですよね。

為末:ほんと、アメリカの失敗に対する寛容さって何なんでしょうね? 日本では失敗が許されないと自分が勝手に思い込んでいるだけなのか。そういう社会の空気がありますよね。

田中:ありますね。日本だと、たとえば就職活動で失敗したらもう終わりみたいな。私自身も大学時代はそう思っていたところがあって。でも失敗って、コロンブスの時代の「魔物」のようなものだと思うんですよ。「海の果ては滝になっていて魔物がいる」という。でも、1回出てみれば魔物なんかいないってことがわかる。

為末:うん。

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