為末さん、これから何を仕掛けますか? スポーツとビジネスの接点を探る

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為末:僕から2つ、質問していいですか?

田中:どうぞ。

為末:もし田中さんが日本陸連かJOCのトップになったとして、4年間で「スポーツ人気の拡大」と「メダル数の増加」という目標を与えられたら、どんなことをされますか?

田中:人気とメダルの両方ですか?

最新著の『走りながら考える』。25年間の選手生活を振り返りながら、自己鍛錬の考え方などを記している

為末:優先順位の1番目は人気で、2番目がメダルだとすると?

田中:面接のケーススタディみたいですね(笑)。

為末:ハハハ。

田中:そうですねえ……。人気が出れば、運動神経のいい人がどんどんスポーツ界に行くという流れができると思うので、最優先はおっしゃるとおり、人気を上げることかなと思います。で、陸上で考えると、為末さんを前に大変失礼なんですが。

為末:はい。

田中:やっぱりあまりにもまじめな世界だなあという印象で。

為末:うん、うん。

田中:だから、やっぱりエンタメ化するという切り口がひとつ、ありますよね。手段としては、コカ・コーラのCMでライブ中にハードルをやってるのがあったじゃないですか。

為末:はい。

田中:あんなふうに、ライブとコラボしてエンタメのほうにもっと寄っていくという手段もあると思いますし。

猫ひろし騒動は、マラソン界のチャンスだった?

田中:あと先日、「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日・ABC系)を見ていたら、増田明美さんが女子マラソンの解説中に、出場選手のプライベートな情報をやたら紹介するというのをやっていて、それがすごく面白かったんです。「この選手の好物はウナギの肝で」とか「この選手は夫の周平さんとどーのこーの」とか、しょうもない情報をどんどん披露する(笑)。あれを見て、今度、増田さんが解説する女子マラソンの中継を絶対見てみようと思いました。

為末:増田さんは選手の情報を調べ尽くしてますからね(笑)。

田中:ほんとにすごい取材力でした(笑)。つまり、エンタメとコラボするだけでなく、スポーツが持つエンタメ性にもっと着目する、ということだと思います。選手だけじゃなく解説者や審判など、あらゆるプレーヤーのキャラを引き出して打ち出すだけでも、スポーツがもっともっと面白くなって人気が出る気がします。

為末:参考にさせていただきます。

田中:逆に、為末さんが日本陸連やJOCのトップになったら、されたいことってありますか?

為末:僕がですか? 田中さんのような、ビジネス側の方に何人かかかわってもらいますね。スポーツの世界以外の人の登用がすごく少ないので。ここにいくら割り振ると、このぐらい強くなるという設計ができる人、数字で出せる人を登用したい。

エンタメの世界の人も何人か入れて、面白くしたいですね。だから、猫ひろしさんがマラソン選手になったのって、実はスポーツ界にとって結構チャンスだったんじゃないかって思うんですよ(笑)。やりようによっては。

田中:確かにそうですね(笑)。

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