エルドアンが誘う暗すぎるトルコの「未来」 クーデター未遂で大統領の独裁色さらに濃く

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イスタンブールの主要なタクシム広場に隣接する公園の破壊に反対した、2013年の反政府勢力の抗議への対応では、必死で権力を握ろうとしていることが露呈された。エルドアンは放水銃や催涙ガスを用いて、杓子定規な絶対的指導者のやり方で対応した。批判者と反対者は逮捕された。

同年後半に腐敗疑惑が表面化した際、エルドアンはソーシャルメディアサイトを閉鎖し、大統領がギュレン氏と繋がっていると考える裁判官や警官を免職にした。ギュレン氏がその疑惑を漏らしたと、エルドアンは思っていた。

AKP党首としての任期が2014年の満了に近付き始め、大統領になるための選挙運動をしていたとき、彼はトルコの憲法を改正して統治システムを見直し、議会制から大統領制に移行する必要があると主張した。大統領制において、エルドアン氏は多数決主義ばかりでなく、絶対的指導者の支配を固めることで、前例の無い権力を得るつもりだった。

問題含みの外交策

 そうした制度には、正義や人権を脅かす多大な危険性がある。多くの人々が、かつては活力に満ちていたが今や失速したトルコ経済の将来を憂慮している。トルコ経済は、とりわけ最大の貿易相手である欧州連合(EU)への輸出に依存している。

米国や北大西洋条約機構(NATO)、近隣諸国との関係については、さらなる懸念がある。トルコがクルド人問題を抱えるシリアや、イスラム過激派の隆盛にどう対処するのかは、とりわけ重要だ。

エルドアンは6月末、イスラエルやロシアとの関係を改善させた。しかし、クーデター未遂数日後にトルコ政府は米国政府に攻撃的な姿勢を示し、対米関係をここ数年になく緊張させた。トルコ政府はオバマ政権がギュレン氏を引渡すよう要求、応じなければ対米関係を「見直す」と脅した。

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