次期iPadに埋め込まれる新アプリの衝撃度 「Swift Playgrounds」の重要性に注目せよ

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今回教材として用いた「Fundamentals of Swift」における基本的なチャレンジは、キャラクターをコード入力によって動かし、宝石を集めることだ。ほかの入門用環境と異なり、プログラムを作る画面ではブロックなどではなく、文字列のコードを入力する仕組みだ。

ただし、タッチできるiPadの画面を生かし、コードをタップして入力できる仕組みを備えている。ちょうど、予測変換で文字を入力していくような要領でプログラミングを行うことができるのだ。“繰り返し文”や“型の宣言”などは、ツールバーの「+」ボタンから選択して追加することができ、繰り返しの場合は、範囲指定をタッチ操作で行うことができる。

将来的には、プロフェッショナルが行なっているように、キーボード主体のプログラミングに移行することを前提にして、文字で構成されるコードへのアレルギーを持たないように工夫されている点が光る。

加えて、アプリの名称の由来ともなっている「プレイグラウンド」も有力な機能だ。プレイグラウンドは、Mac向けの開発環境、「Xcode(エックスコード)」にも採用されている仕組みで、書いたコードをその場ですぐに実行して結果を見ることができる仕組みだ。

iPadを横に構えた際、左の半分の画面には解説とコード入力画面があり、右には書いたコードをすぐに実行できる画面が用意されている。アプリ切り替えなどをせず、Swiftで書いたコードの結果を確認できるため、アプリ向けの言語ながら試行錯誤を行いやすい特徴がある。

また、書いたコードは、iMessageやメールなどを用いて、簡単に友人と共有することができる。送られてきたコードをSwift Playgroundsで開けば、送り主と同じように画面で実行できる。教室内での共有や、家で宿題中に答えを見せ合うといった活用もできるだろう。

多彩な学習法、教授法に対応する

お互いの画面を見せ合うのが簡単なため、グループでの学習にも向いている

初めて行ったSwift Playgroundsによる授業運営は、設定から学習の過程を通じて、非常に円滑なものだった。

6人程度のグループで1人1台ずつiPadを渡し、生徒たちに自由に取り組ませる時間を取りながら、先生はアシスタントともに教室を回って生徒をおせっかいになりすぎないようサポートするという方式が、生徒同士の議論や試行錯誤を促すことができてよさそうだ。

Swift Playgroundsに読み込ませる教材が重要だが、Xcodeを用いることで、Macで作成することができる。すでに用意されている教材を編集することも可能だ。現在公開されている教材はすべて英語であるため、とまどう生徒もいたが、たとえば、Xcodeから説明文を日本語訳して用いることもできる。

また、Swift Playgroundsに画面を録画する機能が用意されており、iOS 10のAPI(アプリケーションプログラミングインターフェース)を搭載した外部アプリを用いて、画面をインターネットを通じてストリーミング配信することもできる。解説ビデオを先生が作成したり、遠隔授業にも対応できる多彩さを備えていた。

Swift PlaygroundsはiOS 10とともにリリースされるため、より一般的に利用できるようになるのは秋以降となる。また、アップルが現在用意している教材が、秋までに日本語化されるかどうかは現段階では未定だ。

ただし、世界中の教育機関でプログラミング授業を強化する命題がある中で、非常に有力な選択肢のひとつとなることは間違いない。Chromebookに押し切られつつある教育現場でのiPad需要を呼び戻し、本来の目的である「未来のSwiftプログラマー育成」という教育による投資を成功させることになるだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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