エリートたちのキャリア・恋愛事情<最終章>

インドで悟った真実の愛

生まれてから、死ぬまで職業が決まっている人々

タージマハールの傍らでコブラを操るお爺さん。ガンジス川で遺体を運ぶお兄さん。ゴアで突然耳かきを仕掛けてくるおじさん。また一生裸で修行をする聖人もいれば、乞食を運命づけられ、両足を切断された人もいる。

圧巻なのはガンジス川で遺体を焼き、灰を流すガート(岸辺)で、川の中をザルであさり、遺体からとれた焼け残った金や宝石を捜す仕事だ。

インドのカースト制度には、人が何代にもわたって1つの仕事に従事すれば、各家庭が専門家になり経済が効率的だ、というそれなりの理由もあるという。現在は法律で職業選択の自由が認められているが、絶対貧困のため移動が阻まれるケースもまだ多い(ちなみにムンバイなど大都市ではカースト制度の名残は急激に薄れている。インド人の私の友人が何人か言っているのでおそらく本当)。

私がお世話になっていたネハサ家の愛すべき少女、サリーには将来コンピュータ技術を学ばせ、ITエンジニアにしたいという。しかし観光シーズンにボートで稼ぐ月3000ルピーの蓄えでは、学費を到底賄えない。

だが彼女たちは決して不幸ではない。4畳の部屋に5人が折り重なるように寝ても、謎の外国人(私)が勝手に数日間居座っても、2時間に1回は停電しても、愛する家族と神への祈りにより、幸せに満ちている。サリーのようにすてきな笑顔の子がこの家に生まれてくれて、本当に幸せだと。 

彼らは外資を渡り歩き、財務諸表とコンピュータとにらめっこしながら、豪華なディナー/パーティに忙殺される太っちょコラムニストに比べ、人生が格段に満ち足りているように思える。 

彼らは職業選択の不自由は余儀なくされているが、それが逆に人生を安定させており、彼らのほうが少なくとも人生の幸福の基本(家族、勤労、祈り)を忘れずに生きているようにも見えるのだ。

外国語を話せても、自国語を読めない少女たち

「Give me small business、Just look my Shop, you are first customer today」と、瞬時に20人の子供たちに包囲されるのは西インド、ゴアのアンジェナ海岸。

コーラ30本、アイス10本、マンゴー6つにパパイヤとすっかり身ぐるみ剥がされたわけであるが、それでも屈託なく笑う子供たちの笑顔はかわいい。

彼女たちは観光客相手に英語、ロシア語、中国語や日本語、韓国語で話しかけてきたりする。流暢なバイリンガル、トリリンガルに感心していたが、メールを交換するとき、彼らが多くのケースで字が書けず、また読めないことがわかる。

そして16歳の少女シャロンは、来月には親が決めた隣村の、21歳の好みではない若者シャンティと結婚させられてしまうのだ。

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