とりわけ家電商品は、ヤマダ電機であれケーズデンキやコジマであれ、どの量販店においても同じ商品を販売している。もともと価格比較の対象にされやすい。
「価格.com」のような商品の価格や口コミを参照し、欲しい商品をいちばん低価格で販売する店舗を簡単に確認できるサービスもある。さらに、スマートフォンの普及により、いつでもどこでも消費者が価格情報にアクセスできる時代になった。
従来、消費者は家電を購入する際、ヤマダ電機やケーズデンキなどの店頭に足を運び、店員と商談をするような消費行動を取っていた。今やネット通販の拡大とともに、ショールーミングも徐々に広がりつつある。購入直前でお客が逃げていくショックは計り知れない。
世間が家電量販店の行く末を危ぶむ中、ヤマダ電機は「われわれが勝つ」と断じる。ひるむ様子はない。
ヤマダ電機は、全国で直営約700店舗、フランチャイズ店舗も合わせると約3500店舗超というリアル店舗のネットワークを持つ。過去1年間に利用があったアクティブ会員は約2350万人と、顧客基盤は巨大。
顧客は幅広い年齢層に及び、30~40代のファミリー層が多い。男女比も55対45と、女性会員が半数を占める。店舗と顧客基盤という巨大なリアルの資産をこれまで以上に生かすためにネットを最大に活用する、という。
ヤマダ電機がネットとリアル店舗の融合に本格的に力を入れ始めたのは、1年ほど前。2年くらい前までは、エコポイント制度があったため、3年間前倒しでテレビ需要を先取りしている状態だった。売り上げも異常な伸びを記録した。それが、エコポイント制度の終了とデジタル放送の切り替えという2つの特需からの反動に見舞われた。
ネット通販企業の急成長も追い打ちをかけ、家電業界全体を暗雲が包み込む。王者ヤマダ電機といえ、例外ではなかった。2012年度は、売り上げ、利益ともに減少した。
まさしく“前門の虎、後門の狼”のような状況下だが、冒頭のように飯塚氏の言葉は力強い。
ショールーミング対策についても、「真っ向から価格で戦っていけばいい。ネットの価格がこうならヤマダの価格はこれです、とお客様に判断していただければいいと思う。すべてネットに合わせるわけにはいかないが、徹底的にやればいい」と言い切る。
要するに、価格で負けなければいい、という考え方だ。
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