周知のとおり、日本の商店街の多くはシャッター商店街といわれ危機に瀕している。いわゆる「まちづくり三法」が作られて10年以上経つが、復活の見通しは立っていないようだ。
北九州の商店街にどういう未来があるのか? 彼らがこの地を調査対象に選んだのは、商店街が大成功していたり、有名だったりするからではない。ビジネススクールの授業で、たまたま北九州エリアが選ばれたからだ。
横浜の元町商店街や高松の丸亀町商店街、あるいは九州でも天神の新天町商店街を見れば、もっと違う現実があったかもしれない。だが、数少ない成功事例をベンチマークするだけが能ではない。
思いきっていえば、苦労している普通の商店街(北九州はそれでも賑わっている方ではあるのだが)に一歩踏み込んで考えを新たにしてみることが、アクションリサーチには求められる。
さすが、彼らは興味深い発見を持ち帰ってきた。ほかの地域にも共通する話かもしれないが、特に小倉駅周辺の商店街では、「学生」が重要な役割を担いつつあるのでは、と。
新しい「大学努力」の形 地域と学生が結びつく?
昨今、大学の多くが補助金減や学生減に直面し、企業努力ならぬ大学努力が求められるようになってきている。これは特に地方において顕著で、北九州にも同様の傾向が見られる。地場の産業や商店街との結びつきを強めることは、その打開策の一つとして、考えられている。
学生から見れば、たとえば商店街でインターンや職業訓練ができ、アルバイト代が入り、さらには単位ももらえる(という大学もある)。少し規模が大きい店舗であれば、そのまま就職できるかもしれない。
商店街から見れば、労働力を安く手に入れることができるし、何より学生は顧客でもある。彼らが商店街を訪れてくれること自体、商店街の活性化になる。
第三セクターやNPOにとっても、学生は貴重な戦力だ。彼らの活動も、学生ボランティアなしにはうまくいかない。
さらに、行政にとっても、学生の満足度が高まり、学生の数が増えてくれれば、税金の増収を見込めるかもしれないし、何より、街全体の活性化につながる。
なるほどと感心したのだが、彼らの発見は、これだけではなかった。学生の存在は、もう一つ重要な意味において、商店街の活性化に貢献するかもしれないというのだ。
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