今日の商店街の衰退には、外の理由と内の理由があるといわれている。外の理由は、むろん、スーパーやショッピングセンターという魅力的な競合が増えてきたことを意味する。大規模小売店舗法をはじめとして法的な規制もいろいろとなされてきたが、基本的にこうした競合に対抗するのは難しい。
一方、より深刻なのは内の理由とされる商店街内部の問題で、こちらは個店の足並みがなかなか揃わないことを意味する。商材はもちろん異なるし、商いの方向性や後継者の問題等には温度差がある。さらに、同じ商店街に軒を連ねながら、隣の店舗だけが儲かるのは何となく面白くない。出る杭は打たれるというわけでリーダーシップも期待しにくく、商店街全体として動けない。そんな内の理由によって、ますます外の理由に対応し辛い状況に陥っている。
それではと、商店街の組織としての機能を強化してみたり、あるいは行政主導で商店街改革を進めてきたのが、これまでの歴史だった。その中で、成功する商店街も出てきたが、多くはうまくいかなかったと思う。強制的に上から束ねようとしても、足並みを揃えられないのである。
特に行政主導の場合、補助金の力で一次的に足並みが揃ったとしても、すぐに補助金争いが起きたり、依存体質が身についたりして、自分たちだけでは何もできないままになってしまう。
学生は関係の潤滑油? 脈打つように広がる力
学生の存在は、こうした内の理由をうまく解決するかもしれないという。彼らが気づいたのは、たとえば二つの同業者の仲が悪く、なかなか商店街としての方向性を打ち出せなかったとき、どちらの店舗にもそれぞれ学生が入り込むことを通じて、何となく二つの店舗の関係が改善するということだった。
理由は簡単だ。それぞれの店舗にとって、学生は歓迎すべき存在である。同時に、学生たちは、別に個別の店舗に所属しているというわけではなく、通常は同じ大学で勉強に励んでいる。二つの店舗で別々にインターンをする学生が、大学では、しっかりつながっていて、要するに知り合い同士なのだ。
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