「日本人の留学」はどうすれば増えるのか? カギは「大学入試の改革」にあり

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このような英語力の現状を踏まえると、たとえ企業が英語力や留学経験のある学生を積極的に採用する方針を打ち出そうとも、日本の大学が海外の協定校を増やし留学のための奨学金を充実させようとも、学生自身に英語力がないために留学を断念せざるをえない。実際に、多くの大学において協定校留学の枠が埋まっていない。

教育現場は変わり始めている

このような中、私が期待しているのが、文科省の取り組みだ。

この事業は「英語力の指導改善事業」と題し、2012年の4月からスタートしており、英語力を強化する指導改善の取り組みや外部検定試験を活用した高3生向けの全国英語力テスト(スピーキングテスト含む)などが全国の100を超える高校で実施されている。

この取り組みが本格的にスタートして1年も経たないが、全国各地で使える英語力の育成に向けて「スピーキングを含めた4技能を総合的に育成する指導法」や「英語科としてCan-Do形式の到達目標の策定」など、さまざまな英語教育が全国各地の高校で実践されている。

さらには、次年度からスタートする新教育課程の高校英語において「指導する標準的な単語数を1300語から1800語に増加」し「英語による言語活動を授業の中心とし、授業は英語で行うことを基本とする」という方針を打ち出している。

こうなると、残る課題は大学入試の「受験英語」である。大学受験において、文法・訳読中心のいわゆる「受験英語」から、「実社会で使える英語力」を問う出題に変えることができるかどうかがポイントとなる。

すでに教育現場は動き始めている。「大学入試の改革」――この一点に、中高生の英語力を向上させ、内向き志向を打破できるかどうかがかかっている。

藤井 雅徳 ベネッセ・高校事業部グローバル事業推進ユニット長

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ふじい まさのり / Masanori Fujii

1975年大分県生まれ。99年、ベネッセコーポレーションに入社。入社から8年間、年間200本を超える高校生への進路講演、教員向けの研修会、大学受験情報の分析などを行いながら、学校改革支援に従事する。2008年5月、米国のトップ大学を目指す少数精鋭の進学塾「ルートH」開校。3期生までで10名の卒業生を輩出し、米ハーバード大に5名、米イェール大に3名等、高い合格実績を残す。ソーシャルイントラプレナー(社内起業家)として、現在7つの新規事業プロジェクトを担当。

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