遠藤功「北の革命児・コープさっぽろ」 ニッポン中堅企業の秘めたる爆発力
コープさっぽろの2012年3月期の総事業高は約2545億円。全国に350以上存在する生協のトップに立っている。事業会社の経常利益にあたる経常剰余金は約28億円、対前期比2.7倍となった。店舗数は107。組合員数は138万人。実に道内世帯数の半数を占めている。
しかし、セブン&アイ・ホールディングスやイオングループなど巨大な流通グループがさらに勢力を伸ばす中で、コープさっぽろは北海道という地域限定の中堅企業にすぎない。いくら地域に根差しているとはいえ、自らを変革し続けることができなければ、流通戦国時代の荒波に呑み込まれてしまいかねない。中堅企業であるコープさっぽろが勝ち残るためには、常に挑戦心を持ち、独自性や機動性を磨き続けることが不可欠だ。
エネルギーやエコの分野でも先進的な取り組み
コープさっぽろの革新性は販売という面だけに留まらない。エネルギーやエコの分野においてもきわめて先進的な取り組みを次々に展開している。
たとえば、回収した天ぷら油を燃料にしたBDF(バイオディーゼル燃料)トラックを宅配用に使用。2008年に帯広で実験的に開始したが、現在では300台を超え、1企業の保有数では日本一である。環境活動のアピールとして行ったBDF車300台によるパレードは、ギネス世界記録として認定され、話題を集めた。
2012年11月にはNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)と共同で「バイオマスガス」プラントを竣工させた。これはスーパーの店舗から廃棄される食物残渣(生ゴミ)と地元酪農家から回収する牛糞尿を原料としてバイオガスを製造するもので、店舗のエネルギー源としての活用を狙っている。将来的には道内7カ所に同様のプラントをつくり、エネルギーの地域循環システムの確立を目指している。
また、帯広市内の2ヶ所に大規模太陽光発電(メガソーラー)を建設。7億5000万円の建設費のうち、3億円は組合員を対象としたメガソーラー債で調達した。こうした積極的な再生可能エネルギーへの取り組みは多くの組合員によって支えられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら