公開!「ゼネコン75社」年収増加ランキング 「請け負け」脱却、3年前から320万円増も

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ランキング上位の顔ぶれは、過去の赤字体質から脱出した”敗者復活組”が多い。3位の浅沼組は大阪本社の老舗中堅ゼネコン。経営不振が続いていたが、首都圏の再開発案件など建築工事が好調で息を吹き返した。4位の熊谷組は建築から土木まで幅広く手がけるが、もともと大型の公共工事が得意で、”トンネルの熊谷”ともいわれる。他にもこの3年で年収が100万円近く増えた中堅ゼネコンは少なくない。

気になるスーパーゼネコンの年収は大成建設が918万円、大林組915万円、清水建設906万円、鹿島が892万円。増加額は大成建設で48万円増にすぎないが、その水準はやはり飛び抜けている。また年収額は4社でほぼ拮抗しており、横並びといわれる業界の体質を物語っているともいえる。

東京の再開発はこれからが本番

ゼネコンは請負業であるゆえ、「儲かっている」と正面切って言うことはない。ただ今の経営層には、その裏に「自信」を感じる。かつては「請負とは”請け負け”。そもそもが負ける宿命ですから」と自虐的だったのに対し、現在では「適正な利益をいただくようになった」とサラリと言う。

現在の東京の再開発は小休止といえる状況で、2018~19年にかけてピークを迎える。そして東京五輪後の建設需要についても、現在の受注が平準化していることもあり、悲観論は大幅に後退している。

事業規模20兆円ともいわれる大型の経済対策も見込まれる。実は地方ゼネコンには息切れ感があったが、それも経済対策で一息つきそうだ。ただ業界では今後、企業間格差が拡大するおそれがある。ここ数年で業界は大きく変貌した。ゼネコン業界にとっては当面、”強気”の事業環境が続くことになりそうだ。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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