「グレーゾーンの子」は接し方でこうも変わる 「発達障害かも?」と悩む親たちに伝えたい

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当時を思い返すと、今でも胸が痛みますが、それでも毎日歯を食いしばって、弟、妹の世話もしながら必死で子育てしていました。そうしているうちに、長男も成長すれば少しは落ち着くだろうと思っていたのです。

ところが、小学校に入学し、長男は落ち着くどころか、余計に問題行動が増えてしまいました。ランドセルの中身は空っぽ、登下校ではケンカばかり、漢字の書き取りは投げ出す、クラスのゲームに参加できず教室を飛び出してしまう……担任の先生からも毎日のように電話がかかってきました。

長男のことにかかりきりの日々で、次男には無気力な様子がみられ、赤ちゃんの長女も最低限のお世話で精一杯。一生懸命やっているつもりなのに、「なんで私だけ、こんなにうまくいかないんだろう」と、いつも思っていました。

そんな時、パパが「おれの小さい頃もこんなだったかも?」と見せてきた、たまたま仕事の関係で読んでいた本。そこには、まさにうちの長男のことが書いてありました。

このとき「発達障害」という言葉を初めて知り、私は、なぜ「フツーの育児」でうまくいかなかったのか、ようやくうちの子の謎が解けて、モヤモヤとした霧が晴れていく思いがしました。

得意なことと苦手なことの差が激しい「凸凹さん」

当時、小学校の教室から泣いて飛び出した長男は「発達障害」の範囲にあり、次男・長女・パパ、そして私自身もいわゆる「軽度・グレーゾーン」のどこかに当てはまる、「凸凹さん」だったことに気づきました(この記事では発達障害の特徴のあるお子さんを、診断のある・なしに関わらず「凸凹さん」と呼びます)。

「障害」になるかどうかは、その凸凹の強さだけでなく、周りの環境との段差、つまり本人がそのコミュニティ(学校、園、地域など)に適応できるかどうかで決まるのだと思います。

そして、「発達の凸凹」の差があるけれど、なんとか適応できている子は「グレーゾーン」と呼ばれ、「発達障害」と「定型発達(いわゆるフツーの子)」の間をうろうろしています。

私なりに理解した「発達障害とは?」の答えを一言で言うと、「得意なことと苦手なことの差が大きい子」だと思います。誰にでも得手・不得手があり、その凸と凹の形を「個性」というのだと思いますが、発達障害の子はその個性による「発達の凸凹」の差が大きいため、「特別な個性=特性」になるのです。

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