田中:なるほど。では2つ目のお話を伺いたいんですが、為末さんは、引退後のスポーツ選手がどう生きていくかをテーマのひとつとして持たれているようですが。
為末:はい。
田中:今日、ちらちらググッてスポーツ産業のデータを拾いまして、紙の裏をご覧いただけますか。
為末:おおっ、さすが元マッキンゼーのコンサルの方ですね(笑)。
田中:引退したスポーツ選手がどう生きていくかを考えるに当たって、スポーツ産業の現状を調べてみました。広義にとらえたスポーツ産業は11兆円と非常に大きなマーケットです。狭義にとらえても6.5兆円で、これがいわゆるスポーツ産業。具体的にはSpectator(観客)スポーツ産業と、Doスポーツ産業です。
でも、Spectator(観客)スポーツ産業のスポーツ興行団になると、いきなり小さくなって1292億円。全体のわずか1%です。
で、このスポーツ興行団の収入がもっと大きくなれば、単純に選手の収入も増えて、そこで新たな雇用も生まれる。たとえば、引退後に選手の個人トレーナーになる、とか。だから、「スポーツ興行団の収入をいかに増やすのか?」が大きなイシュー、つまり、これさえ解ければスポーツ産業の多くの問題を解決できる、重要な課題だと考えました。
じゃあ、どうやって増やすかですが、観客を増やすとか、テレビでもっと放映するという方法以外に、周辺マーケットに進出することで増やせないか。たとえば民間のフィットネスクラブのようなDoスポーツ産業と組むようなアプローチができないかなあと素人的には思ったんですよね。
スポーツに入ってくるおカネが少ない
為末:僕、スポーツ興行団のところは、スポーツを見るという意味では、実はそんなに小さいマーケットではないと思うんですね。なぜなら、日本はスポーツをテレビで見るという文化がありますから。テレビの広告収入が、たぶんスポーツ興行団のところに入るべきなんじゃないかと思うんです。ワールドカップやオリンピックのスポンサー収入とかって大きいですよね。
田中:はい。
為末:ただ問題はその後、スポーツ界に入ってくるおカネが微々たるものということで。要はそれらを大きくくくっているところが持っていく(笑)。まあ当然、仕組みを作ったところが利益を得て、協会が利益をもらって、最後に選手がある意味、出演者として利益をもらうというカタチになっている。だから、オリンピックであれだけ巨大なおカネが動いても、最後、選手に入ってくるときは、メダル取っても100万円みたいな世界で。
田中:テレビ局がいて、電通的なところがいて、協会があって……。言い方は悪いですけど、搾取モデルですね(笑)。
為末:アハハハ。
田中:それもひとつ、スポーツ興行団収入のボトルネックになっていると。
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