ベントレー、3500万円超の車は何がスゴいか

旗艦の新型「ミュルザンヌ」に乗ってみた

新型ミュルザンヌを試乗──ベントレーはオウナーが運転するクルマなのだ

新型ミュルザンヌの押さえどころは、まずもってフロントのグリルが80mm横方向に広がった。しかも伝統の縦方向のスリットが入って、クラシカルな印象を与える。ヘッドライトも新しい。宝石を思わせるカットでキラキラしている。リアのテールライトはBの文字を表すクロームの縁取りが採用され、古きよき時代への郷愁を誘う。

常識はいつの間にか変わる

「ポートランド」と呼ばれる色の、しなやかなレザー。ウッドは「リキッド・アンバー」

インテリアでは最新のインフォテインメントシステムが組み込まれたほか、より快適な乗り心地を得るべくシートを一新している。400時間かけてハンドビルドされるミュルザンヌは、ペイントのポリッシュだけで120時間、ウッドと革の内装づくりに150時間費やされる。ウッドパネルにはツルツルテカテカのコーティングが施されていて、そこは往年の英国車とは趣が異なる。まことに残念ではありますが、太陽光線を浴びるとクラックが入ってボロボロになる繊細なウッドをお好みの御仁は、クラシックカーをお求めになるがよろしい。

最初に乗ったのはフツウのミュルザンヌで、内部の人たちは「シグネチャーモデル」と呼ぶ。外装色は「アラビカ」と名付けられたシックなコーヒー色だ。タイヤ&ホイールはオプションの21インチを履いている。ステアリングホイール径は従来と変わっていないということだけれど、全長5575mm、全幅1925mmという巨大なサルーンを動かすにはいささか小径に過ぎるように思えた。

走り始めると、ドライバーの入力に対するボディの反応との間に遅れとかズレというものが生じないことに驚嘆する。あれっ、巨大戦艦が水雷艇のようにスイスイ動く。といって、そこにパワーアシスト過多のような人工的な味付けは感じない。筆者のおぼろげな記憶によれば、フェイスリフト前のミュルザンヌはちょっとした待ち時間が必要だった。大きいモノとはそういうものだ。

身長40m、体重2万トンのウルトラマンは、「ハアッ」と気合を入れてからゆっくり動いたではないか。鉄の塊を木と革を覆ったミュルザンヌは車重が2.6トン以上ある。大型SUVもかくやのヘビー級巨大サルーンが蝶のように舞うのは無理筋の話なのだ……と思っていたら、常識はいつの間にか変わる。

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