実際に中堅企業の採用活動を支援する立場として見ていると、2017年卒の採用活動では、企業が内定を出しても「まだ決められない。答えを保留したい」と答える学生が多いのが特徴です。
2017年卒は選考開始が6月スタートと、8月スタートだった昨年と比べて就職活動期間が短くなったことで、企業選びの判断基準が自分でもはっきりしないままに就活に突入し、明確な「軸」が定まらない中で内定を得ている学生が多いという傾向があります。
そうした背景もあり、どの企業に入社するかを決められず、迷っている学生が多いのでしょう。意思決定までの期間が長くなっているようです。
こうした学生たちの事情をくんで、企業側も一定期間は待つという姿勢を示していますが、その間も「辞退されたときに備えて、説明会を再び開いたほうが良いだろうか?」「もし辞退されたら、またゼロから採用活動をしなければならなくなる。どうしたら良いのだろう?」などと悩みは尽きないようです。
ある程度の辞退を見越してはいるものの、やはり内定を出すくらいですから、内定者は、できれば一緒に働きたいと考えている大切な存在です。なるべく辞退者を出さずに、内定を出した学生を無事に4月に新入社員として迎えられたら……と、「内定者フォロー」に昨年以上に力を入れる企業も少なくありません。
手間をかけて内定者を密着フォロー
「内定者フォロー」は、内定先の企業が内定者と定期的に個別に連絡を取り合ったり、内定者向けに研修や社内イベントを実施したりするというものですが、今年は新しい動きも出てきています。
たとえば、内定者それぞれのタイプに応じた社員1人をフォロー要員として配置し、採用から入社まで「一対一のフォロー」を行う企業があります。また、残業時間や給与といった関心の高い事柄について説明会を開き、先輩社員が答える機会を設けた企業もありました。企業はそれだけの時間と手間を割いて、入社するまでの間の不安や疑問に答えていく体制を整えているわけです。
SNSなどを通じて内定者とコミュニケーションを図る企業もありますが、今年はなるべく個別に社員を配置して、学生の疑問に答えたり、学生のタイプに合った個別の対応をしたりすることで、できるだけ密着度を高めていこうとする動きが出てきています。
今年は、例年と比べてリクルーターの数が倍増しているという声も聞かれます。おカネよりも人的パワーを割いて、内定者に辞退されることを避けようとしている企業の姿勢がそこにも表れています。
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