グローバルエリートからの講評
今回、私が尊敬する城繁幸さんをお迎えし、約6年ぶりに対談させていただけたことをうれしく思う。ここだけの話、対談当日、東洋経済本社の場所がわかりづらくて、雨が降っていることもあり立ち往生して30分も遅れてしまい、新米編集長と城さんの怒りがあふれる中での対談となってしまった。結局、三越前の駅まで編集長に迎えに来てもらい、「大物の先生相手でも私、駅まで迎えに来たことないですよ、、、」と嫌味を食らいながらも、駆け足で対談させてもらった。
違った意味での緊張感あふれる対談になったわけだが、問題意識はグローバル市場を見ている私と、国内市場で若者のキャリア問題で第一人者であられる城さんとは本質的に共通点が多かった。
まずグローバル金融にしても国内電機産業などのメーカーにしても、2000年代初頭と異なり解雇されても国内で行く場所がない。国内に雇用の受け皿がない時代に突入していることに、十分な備えがなく緊張感の足りない若者がいまだに多いということである。
死にもの狂いで努力しなくても、父母や祖父母の貯金や社会福祉で食べるのに困らない、と書くと“本当に困っている人の生活を知らない”と怒られるのだが、少なくとも世界で困っている人のスタンダードに比べれば果てしなく恵まれている。
ただ真意を誤解してほしくないのだが、これでもって生活保護がなければ子供を学校にも病院にもやれない母子家庭のお母さんから、生活保護を打ち切れなどとけしからんことを言っているわけではない。あくまで、まだやれるのにインドや中国、東南アジアと競争するうえで相応の努力をしていないのに従来どおりの賃金水準を企業に求め、日本にとどまってビジネスをしてくれている企業をブラック企業呼ばわりして文句を言っている人たちに、世界的な視点でビッグピクチャーを見てほしいのだ。
こんな警鐘を鳴らすとまた、ようやくプロレスファンの怒りが収まった直後なのに、今度は若年失業者の皆さんからお叱りを受けそうだが、危機感を持って生産能力を高め、好きな仕事を得るために死にもの狂いの努力をしてくれる人が少しでも増えれば望外の喜びである。
城さんとの対談後編では引き続き、企業の役割と労働者が企業に何を期待すべきなのか、さらには、日本企業が国際的企業と競争して最高の人材を引き付けるにはどうしたらいいのか、皆様と一緒に考えたいと思う。
※ 対談の続きはこちら:
(撮影:今井康一)
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