――それは他の業種にも広がるという意味ですか?
城:具体的に言うと、シャープ、パナソニックまで広がりますね。あと最終的にはNECあたりまでいくんじゃないかな。そうなると、会社の看板を外すぐらいの大きなリストラがこれから起こるはず。それは、2000年ぐらいに起きた総合電機業界のリストラとは質が違う。本当に手足を切るようなリストラが起こると思うんですよね。
――2000年前後のリストラとどこが違うんですか?
城:当時とはレベルが違う。まず、2000年前後のリストラって、ほとんどが製造ラインを畳むという話で、ホワイトカラーはほとんど手を付けていないんです。
だから、よく言われる「良い大学を出て、大企業に入る」という昭和的価値観は、実は完全に壊れたとは言い切れない側面もあった。それに運悪く事業部がリストラ対象となった人でも、早期退職しても転職先が国内にあったんです。どこかに景気がいいところがあって、潰しが結構効いたんですよ。
電機でいうと、当時は、システムエンジニア(SE)がたくさんいればいるほど、儲かった時代なんです。だから、多少畑違いでも、プログラミングができる人は、他の企業に採用してもらえたし、ずっとハードの設計とか製造ラインで働いていた人でも、本人にやる気さえあれば、一定期間の研修後に、そういった職が見つけられた。
だから、逆に言うと、もっとも変わらなきゃいけなかった日本型雇用のコアの部分にいる人たちは、安心しちゃったんじゃないかな。製造ラインはダメだったけど、自分たち高付加価値のホワイトカラーはこれまで通りでいいんだって。
でも、今はクラウドなどの進化で、SEがいらなくなってきてしまって、SE自体もリストラしないといけないという話になっている。たとえば富士通も、数万人レベルでSEの余剰を抱えているんではないかと思う。それが今すごく大きな問題になっている。
よく「終身雇用は欧米企業に比べてより長期的な視野に立った判断ができる」なんて言われますけど、アレは全然間違いなんです。各社のトップはサラリーマンマラソンで40キロ既に走っちゃってて、残りはあと2、3キロ。在任期間は数年なので、自分がいる間は何もせず逃げ切ろうという感じでずっとやっている。でも、いよいよもう逃げ切れなくなって、煮詰まってきている感じがする。おそらく、日本人が初めて、仕事を失うということに直面しないといけない時代が来ると思いますよ。
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