文章のプロは「音声入力機能」でここまでやる 論理的に話す訓練も、長文執筆も簡単に!

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Googleドキュメントならば、どんな端末からも最新のドキュメントを読むことができ、編集もできます。編集作業は画面が大きいほうが容易にできるため、私はiPhoneよりもiPadを用いることが多いです。入力は画面の仮想キーボードを用いたり、音声で行なったり、場合により適宜使い分けています。Googleドキュメントのようにデータがクラウドにあって同期されている場合には、iPhoneとiPadの2つの端末を同時に使うことも可能です。「順序の入れ替えや仮想キーボードによる文字入力はiPadから行い、iPhoneからは音声入力する」という方法です。

最も困難なことを音声入力が解決する

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その後、PCのテキストエディターにデータを移して本格的な編集作業に入ります。全体を一覧して把握するために紙にプリントして編集し、再びテキストエディターで編集をしたら、原稿ができあがります。

この方法で入力と誤変換修正に2時間かければ、400字10枚程度の原稿を書くことができるので、10日以内で1冊の本を書くことができる計算になりますが、実際は能率が劇的に上がるわけではありません。なぜなら、音声入力で文章を書くスピードは、書く内容をすでに持っているかどうかで、大きく変わるからです。実際には、本を書く作業の大部分は、すらすらと書き進めることではなく、考え込んだり、分析をしたり、データを集めたり、調べ物をしたりすることに使われます。

確実に言えるのは、書くことが楽になるということです。文章を書く際に最も困難なのは、「書き始める」こと。その過程が音声入力によって終了するのです。

文章を書く作業のスタートがこんなに簡単になったのは、革命的なことです。音声入力の効果としては、文章を「速く」書けることよりは、「楽に」書けることのほうがずっと大きいのです。

なお、原稿を書くケースについて詳しくご紹介しましたが、長い文章だけでなく、短いメモに使うこともおすすめです。 仕事のメール文や議事録、企画案の作成、新商品のアイデア開発など、さまざまな場面で力を発揮するでしょう。

野口 悠紀雄 一橋大学名誉教授

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のぐち ゆきお / Yukio Noguchi

1940年、東京に生まれる。 1963年、東京大学工学部卒業。 1964年、大蔵省入省。 1972年、エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。 一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て、一橋大学名誉教授。専門は日本経済論。『中国が世界を攪乱する』(東洋経済新報社 )、『書くことについて』(角川新書)、『リープフロッグ』逆転勝ちの経済学(文春新書)など著書多数。

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