欧州委員会のトップは、引責辞任するべきだ

今のEUに必要なのは抜本的な改革

EUの首脳会合(欧州理事会)の開催も予定される。ギリシャ危機の解決に手こずったことで、EUはようやく自身の存続が、迅速な措置にかかっていると理解したようだ。

EUには離脱による負の影響を避けること以外にも、すべきことがある。過去40年間、欧州の根本的な問題は、過剰な課税とがんじがらめの規制で、域内国が低成長に甘んじてきたことだった。

もはや欧州に現状維持の余裕はない。必要なのは抜本的な改革だ。たとえば不当な社会給付の削減、サービス業やデジタル分野の市場開放、法人税の削減、教育の質向上、研究・開発の促進などの改革だ。

現行のEU規則は、EU諸機関と加盟国との責任を明確に定めている。そこでの問題は、多くの政府(特に英保守党政権)が自らの政治的な視野の狭さを覆い隠すため、EUをスケープゴートにしていることだ。EUが不人気になった背景には、そうした事情がある。

欧州のポピュリストたちは自らの主張を正当化するため、EUの移民問題への対応の誤りを指摘する。求められるのは、オーストラリアやカナダのような秩序立った移民政策と適切な国境管理だろう。欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)に、より強い権限を与えることも必要だ。移民問題の根底にある中東の紛争に対処するため、共通の防衛ガイドラインも求められていく。

防衛で米国に頼れなくなる可能性も

四半世紀にわたって、EUは平和の恩恵を受けてきた。結果、加盟国の防衛費の平均は、国内総生産(GDP)の1.4%にまで低下している。少なくとも、北大西洋条約機構(NATO)加盟各国に求められている2%まで引き上げるべきだろう。

オバマ米大統領は欧州の人々を「ただ乗り組」と呼んだ。大統領選で共和党による候補指名が確実視されているドナルド・トランプ氏はさらに踏み込み、NATOの存在や米国の海外軍事支出を公然と問題視している。近い将来、欧州はもはや防衛で米国に頼れなくなる可能性に備えるべきだ。

一方、Brexitではっきりしたのは、国民投票は真に民主的ではないということだ。そのリスクを認識し、国民投票の基準を厳しくすることも求められる。

週刊東洋経済7月16日号

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