東京都知事を取り巻く「超複雑」な政治力学

参院選の次は新都知事誕生が焦点になる

東京都と他の道府県との関係は、この一事だけではない。「東京富裕論」が高まると、東京都の要望を通しにくくなるからこれを和らげるには(東京都が不利になり)他の道府県に有利になることにも同意しないといけない。

かといって、東京都民が払った税金をどしどし他の道府県に渡してしまっては、都知事は都民のために働いていないと批判される。新都知事が臨む姿勢は、他の道府県の住民にも影響を与える。

他の道府県との関係は、国政に影響する。国政は、国の予算を司る。国の予算からは、東京都も1つの自治体として、補助金などが分配されている。国が国税として集めた税金を、どの地域に分配するかは、国の予算で決まる。

利害が一致することはありえない

ただ、中央省庁は、東京都の財政は国に比べてずいぶんと健全な状態で、財源が潤沢だとみている。だから、国は巨額の財政赤字を出しているのになぜ東京都におカネを出さなければならないのかという思いが強くある。

前述した仕組み(地方法人税)も、これが背景の1つとなっている。また、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの実施にあたり、施設などの建設費を東京都にもっと分担してもらえないかという発想も、ここに根源がある。しかし、東京都民も国民であり、東京都の人口は日本の人口の約10分の1にも達する。新都知事は、中央省庁との利害対立を乗り越えるために手腕をどう発揮するか。

このように、新都知事は、都議会、特別区、多摩地域の市町、他の道府県、中央省庁との間の利害対立をどう克服するかが問われる。しかし、これらの関係者とすべてにおいて皆利害が一致することはありえない。こっちを立てればあっちが立たず。こうした政治力学の中で、新都知事はうまく工夫して「合従連衡」して、都民のために貢献できるか。そして、今般の都知事選で、その能力のある候補者を有権者が選べるかが、まさに問われている。

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