アップルの“成長神話"は崩壊したのか 日本では絶好調も、伸び鈍化で株価さらに急落
米アップルが米国時間の1月23日夕方に発表した2013年度第1四半期決算(2012年10~12月)は、売り上げ、純利益とも「過去最高」だった。とはいえ、純利益の伸びは前年同期比で0.1%増に過ぎず、ほぼ横ばいという状況だ(下のグラフ参照)。粗利益率の悪化、「アイフォーン(iPhone)」の販売台数鈍化などを嫌気して、同社の株価は時間外取引で10%ほど下落した。
13年1~3月期は10年ぶりの減益へ
問題は翌期だ。第2四半期(2013年1~3月)について、会社側は売上高を410億~430億ドル、粗利益率を37.5~38.51%になりそうだと説明している。売り上げの伸び率(4.6~9.7%増)が1ケタ成長へと落ち込むことに加え、粗利益率も前年同期(2012年1~3月)の47.4%と比べるとかなり低い。2003年以降、10年も続いた2ケタ成長ペースが終焉を迎え、減益になってしまう。このことも、株価下落に拍車を掛けた。
ただアップルを擁護すると、粗利益率を四半期ごとにみていけば(右下グラフ参照)、2010年1~3月の41.7%から30%台後半であったことも多く、1年前の44.7%や47.4%という粗利益率がイレギュラーな異常値だと考えられる。むしろ、この時期に、ここまで粗利益率が向上したことで市場の期待値が上がり、逆に今、苦しんでいるといえる。振り返れば、この時期に低価格化を進めてシェア確保を優先したほうがよかったのかもしれない。
一方、海を越えたここ日本では、「アップルの成長が鈍化した」という印象を受ける人は少ないのではないだろうか。なにしろ、ソフトバンク、KDDIが販売するスマートフォンのうち人気機種は「アイフォーン5」や「アイフォーン4S」に集中。2社の契約者純増をけん引している。
その印象は間違っていない。日本の好調ぶりは今回の決算でもはっきりと読み取れるのだ。
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