アップルの“成長神話"は崩壊したのか 日本では絶好調も、伸び鈍化で株価さらに急落

拡大
縮小

サムスンへの対抗はバリエーションの拡大か

昨年11月に日本で発売となったタブレット端末「アイパッド・ミニ」

昨年秋にアイパッド・ミニを発売したことから、アイパッド・セグメントの販売単価下落にも弾みが付いている。公表データから販売単価を試算すると、2011年4~6月の単価654ドルから下落を続け、昨年7~9月には508ドルに。ミニ発売後の10~12月には467ドルへと落ち込んでいる。

9.7インチサイズの従来サイズのアイパッドとのカニバリゼーションもあった。とはいえ、カニバリを恐れていれば、「7インチタブレット」という市場をみすみすアンドロイド勢に明け渡していたことになる。その意味から、これは正しい戦略だったといえるだろう。

成熟市場になってしまった音楽プレーヤー「アイポッド(iPod)」では、かなり多くの製品ファミリーを展開している。同様に、アイフォーンでもファミリー展開していくことでのみ、サムスンに対抗できる。低価格方向へのラインナップはもちろんのこと、ギャラクシーノートに相当する大型・高付加価値分野への展開も必要だ。

さんざん噂されているスマートテレビなど新分野への期待も大きい、しかし、主柱のスマートフォンにおけるシェア挽回のロードマップを示せない限り、アップルの株価は戻らないだろう。

(撮影:尾形 文繁、今井 康一)

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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