藤田晋(下)「これからはオタクよりも経営者」 自分で作る力よりも、集団を束ねる力

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――サービスを自分で作るというよりは、組織を動かして大きい流れを作るほうが、かっこいいということですね。

そうじゃないかなと思いますけど。そういう意味で言うと、ちょっと前のネットのオタクみたいな人が中心の時代はもう終わったのかな。新しい時代は、やっぱり経営者じゃないですか。サイバーエージェントでもVCをやっていますが、ネットオタクの会社に投資したいとは思わないですよ。

藤田晋(ふじた・すすむ)
1973年福井県生まれ。青山学院大学経営学部卒業。97年インテリジェンス入社。98年同社を退社し、サイバーエージェントを設立。2000年史上最年少二十六歳で東証マザーズ上場を果たす。著書に『渋谷で働く社長の告白』などがある

逆に、経営者がしっかりしている会社であれば、ネット業界はどんどんチャンスが生まれる。事業内容をころころ変えても何とかなる。逆に、「一発面白いものを作りました」みたいな会社は、そのサービスがはやっても、運営しきれなかったりします。経営力が足りなかったら、どうしようもないですね。

――起業するためのコスト、ハードルは以前よりさらに下がっていますか。

いえ、最近は逆に上がってきています。ソーシャルアプリとか、ソーシャルサービスとか、スマホのアプリとか、最初は一人でちょこちょこと作れたんですが、だんだんタイトルが大型化してきて、開発も大型化しています。すると、集団を束ねないといけないので、やっぱりリーダーシップがないとダメですよね。

おカネはどこからか調達できるんですけど、リーダーシップのある人材を見つけるのは難しい。

でも今は、みんな社長然とするのを嫌がるんですよ。服装もカジュアルだし、みんなと机を並べて働くスタイルを好みます。そういう意味では、リーダーシップが育ちにくくなっているかもしれないですね。

――みんなと机を並べるのは、いい社長みたいなイメージもありますが……。

あれは、社長がすごく威張っていた時代の裏返しだと思うんですよ。雲の上の人みたいだった社長が、フランクに机を並べていると、だいたいメディアに褒められるじゃないですか。でも、あれを地でやっていたら、リーダーシップが取りづらいですよね。社長が机を並べていたら、社員は「社長は俺と何が違うんだ。何でこいつの言うことを聞かないといけないんだ」という気持ちになってくる。社長が若いと、実績もないし、実力もまだついてないので、特にそうなります。

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