いまマツコほど優秀な「食の伝道師」はいない 一気にハネ上がる試食メニューの検索数
「マツコの知らない世界」とは、マツコとスペシャリストの2人が回ごとのテーマについて語り合うトーク番組。回によって登場するスペシャリストがマツコに好きな物についてプレゼンする内容だ。これまでテーマを見ると「耳栓」「靴磨き」「顔ハメ看板」「お弁当」「文房具」「立ち食い蕎麦」などかなりニッチなラインナップ。そんなニッチなテーマに対して、最初は懐疑的でそっけないマツコが、スペシャリストの話を聞き、実際に試したり、食べたり、触ったりして、その世界を体験する。大袈裟ではなく淡々と良さを見極めたリアルなコメントや、どんどん口にほおばる食べっぷり。視聴者はそんなマツコの一挙手一投足に引き込まれ、そのニッチな世界の魅力にどんどんハマっていくというわけなのだ。
マツコの実感と説得のパワーはとにかく半端ない。結果、マツコがこの番組で褒めた商品は「マツコ売れ」と呼ばれるほど、爆発的にヒットするようになった。そして、この「マツコ売れ」は8億円もの経済効果をもたらしているとささやかれているほどだ。
そしてその説得力は商品だけに留まらない。ここで注目したいのはマツコが食べた結果、視聴者は料理サイトでそのメニューを検索をしている点だ。あのメニューを食べたい、だからあの味を家で自分で再現したい。マツコがただただ食べるだけで、比較的手間のかかる料理に人々を誘ってゆくのである。
理屈じゃない。美味しそうかどうか
これまでテレビで放送されて検索数が増加するキーワードにはいくつか傾向があった。
・ココナッツオイル、酢しょうが、もち麦など
「あさイチ」、「みんなの家庭の医学」などの番組で効果効能を紹介された食材
・おにぎらず、ジャーサラダなど
「めざましテレビ」「スッキリ!」などの情報番組で流行メニューとして紹介
通常は、テレビ番組でレシピが紹介されると、そのレシピを作りたい、効果効能にあやかるためにレシピを作って食べたい、レシピを再現してトレンドに乗りたいと人々は似たようなレシピをクックパッドで検索するのだ。
しかし、マツコによるメニュー人気はこのような理屈が一切ない。ただただ、マツコが臨場感たっぷりに、誰よりも美味しそうに食べただけである。その食べっぷりが見る者の食欲を刺激し、同じものを食べたい、同じものを作りたいという感情を喚起させるのだ。料理は理屈ではなく、シズってなんぼ。美味しさこそが大事であるとマツコは私たちに教えてくれている。
SNS、ビジュアル、時短、簡便……。いまどきの食の流行を語るにはさまざまなキーワードがある。しかし、食の伝道師・マツコが気づかせてくれているのは料理の原点は美味しさであるということだ。そんなマツコの食べっぷりから生まれるヒットメニューに、これからも期待していきたい。
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