面倒見ということに関しては、かなり細かいと思います。そもそも一学年が180人程度と多くありませんから、毎年、高校3年生一人ひとりに校長の私が面談しています。進路指導みたいなことではなく、「暁星で過ごした間、どのように自己研鑽を積んできたか、今後何を成していくか」ということを話します。今年は「スクールアイデンティティと学校に対する満足度」というテーマで話を聞きました。暁星は幼稚園から入学すれば高校卒業まで14年いることになります。高校3年生の18年の人生のうち、14年を暁星で過ごす生徒もたくさんいます。
暁星生は「品格がある」?
――暁星のDNAは?
暁星のDNAはノブレス・オブリージュですね。
――あの、すみません、「ノブレス・オブリージュ」って何ですか?
ノブレス・オブリージュというのは「高貴さには義務が伴う」という言葉のフランス語です。ちょっとかっこよすぎるかもしれませんね(笑)。高校生になると予備校などで、他の高校生と接する機会が増えてきますが、暁星生自身は自分たちのことを「僕たちは品格がある」と言っています。ですが、自分で「品格がある」といってしまうのはちょっと未熟かもしれません(笑)。暁星ではキリスト教に基づく、豊かな情操教育を行っています。「良心に従って生きる」ことをモットーに、絶えず競い合い、部活に勉強に頑張ってきたわけですから、「本物を知っている」という自負があるのでしょう。
結局、実際のところ、暁星のDNAはサッカーと勉強でしょう。
医学部を志す2つのタイプ
――1学年の3分の1も医学部に入るのはすごいですね。
暁星で医学部を目指す生徒には2タイプいるんです。まずは医者として働く親を見て、後を継ぐことを視野に医学部を志す学生。もう一方が「そんな奴を医者にしてたまるか!」と思って医学部を目指す生徒。
後者は、「自分たちの恵まれた環境を自分のためだけに使ってはダメだ。社会のために役立てなければならない」という意識を持って医学部を志します。こういう志こそ「ノブレス・オブリージュ」の精神の表れだろうと思います。そういった生徒は医療過疎地を選んだり、地方の国立医大に進学することが多いと感じます。