「退職金」知っておいて損はない基本中の基本

大手と中小で差は1000万円超、ゼロの会社も

「退職金がもらえる」とAさんが思い込んでしまったことには理由があります。それは、日本ではまだまだ退職金(一時金、年金)制度を持っている企業が多いからです。「平成25年就労条件総合調査結果」(厚生労働省)によると約75%の企業で退職金制度があり、特に大企業になるほどその比率は高く、社員1000人以上では90%超える企業が退職金制度を有しています。30人以上99人以下の企業でも72%です。

退職金制度がある企業ではいったいどのくらいの金額が支払われるのでしょうか?2015年4月に日本経済団体連合会が発表した調査結果によると大学卒が勤続38年間で定年退職を迎えた場合は2357万円。中小企業の統計(東京都産業労働局)では同様の条件で1383万円となっています。

よく「退職日の基本給に係数をかけて算出するんだよ」なんて話をする人がいますが、それは単純に“そういう設計をしている会社が多い”というだけで、特に決まりがあるわけではありません。つまり、制度の有無も自由であるのと同じで、退職金をいくらにするのかというのも企業の自由なのです。したがって、38年間勤めても“スズメの涙”なんてことも無い話ではないのです。

退職金規程で計算方法をチェック

あなたは、勤めている会社の退職金規程を見たことがありますか?そこには退職金の算出方法をはじめ重要な事由が記載されていますので見逃せません。例えば、こんな規程だった場合のチェックポイントを見てみましょう。

第1条(適用範囲)
この規程は、就業規則第〇〇条に定める社員に適用する。
第2条(退職金の算定方法)
退職金は退職日現在の基本給に、退職事由、勤続年数により定められたそれぞれの支給率を乗じて算出する。
第3条(退職金の額)
退職金は、勤続1年以上の社員が退職したときは、別表の支給率により計算し一時金として支給する。ただし、次の事由で退職したときは、別表の支給率を適用する。
(1)自己都合によるとき
(2)懲戒解雇するとき

 

まずは第1条(適用範囲)を見てみましょう。ここでわかることは、「退職金制度が適用されるのは誰か?」ということがわかります。「〇〇条に定める社員」の定義で「正社員」となっていれば正社員以外の社員は支給対象外というわけです。

次に第2条(退職金の算定方法)についてですが、ここでは具体的な計算式を確認できます。基礎となるのは「退職日現在の基本給」です。例えば、何らかの事情で退職日直前に基本給が下がってしまった場合は、下がった額が基礎となってしまうのです。また、毎年4月に昇給しているような会社であれば、3月末日ではなく、4月に入ってから退職したほうが退職金が多くなるということです。

次ページ「勤続年数」も長い方が退職金は高くなる
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