「退職金」知っておいて損はない基本中の基本

大手と中小で差は1000万円超、ゼロの会社も

勤続年数については、1年未満や1カ月未満の端数をどう処理するのかを確認します。例えば、「給与の締日が20日だから」という理由によって20日付で退職した場合、その月は「1カ月未満」であるため勤続年数から除外されてしまうかも知れません。なぜなら、「基本給」もそうですが、「勤続年数」も長い方が退職金は高くなるように設計されているからです。

第3条(退職金の額)では支給率について定められています。勤続年数や退職事由により支給率が異なるのでチェックが必要です。一般的には、「自己都合退職」の場合は「定年退職」や「会社都合による解雇」よりも低い支給率が設定されていることが少なくありません。また、「懲戒解雇」の場合も低く設定されているか、もしくは「支給しない」というように規定されていることもあります。

例えば、「会社の勧奨に応じて退職する」なんてケースでは、あらかじめ退職金の計算方法がどのように設定されているのかを確認のうえ、合意をしたほうが良いでしょう。また、退職金は、ある一定程度の勤続年数が無いと支給されないように設定されていることもあります。「退職日が1日早かったために退職金が支給されない」なんてこともありますので、上記の勤続年数の計算とあわせて確認しておきたいところです。

ところで、「懲戒解雇されると退職金がもらえない。それならバレる前に退職してしまおう」なんていう考えを持つ人がいたとすればそれは大間違いです。多くの企業では退職金規程に「在籍期間中に懲戒解雇・諭旨解雇に相当事由があったときは不支給または減額して支給する。なお退職金受領後に発覚した場合は、本来不支給とすべき金額を返還させる」といったように規定されています。大事に至る前に正直に会社に相談しましょう。

その他の退職金制度

退職金は任意の制度ですので、上記のような計算式ではなく、「ポイント制」を採用している企業もあります。この制度は、基本給は基礎とせずに、勤続年数や職務グレード、役職等に応じてポイントを加算し、それをもとに退職金額を決定する制度です。

例えば、勤続年数20年で、そのうち課長を5年、部長を5年勤めたAさんがいるとします。ポイント単価は1ポイント1万円と設定します。勤続年数のポイントが20年300ポイントとし、役職ポイントを課長10ポイント、部長20ポイントとします。Aさんのポイント合計は300ポイント+50ポイント(課長)+100ポイント(部長)=450ポイントとなります。1ポイント1万円設定ですので退職金額は450万円になります。

その他、中小企業では中退共(中小企業退職金共済制度)に加入しているケースもあり、退職金規程で「退職金額は掛金月額と掛金納付月数に応じて中小企業退職金共済法に定められた額とする」と規定している場合があります。このような場合では、退職金規程を見ても実際に支払われる額がわかりません。

そこで毎年会社から配布されるか「加入状況のお知らせ」を見て退職金額を確認しましょう。ちなみに、掛金そのものは事業主が従業員ごとに任意で決められるのですが、減額する場合には原則として従業員の同意が必要です。いつの間にか減額がされていたなんてことにならないよう「加入状況のお知らせ」は必ず確認してください。

これ以外にも退職金制度やそれに替わる福利厚生制度として年金基金や401Kに加入している企業もあります。ご自身の会社がどのような制度になっているのか確認しておくといいでしょう。

企業の退職金制度には、「採用を有利にしたい」「定年まで勤めてほしい」「定年前に退職してほしい」などいろいろな思惑があります。例えば、3年以内の離職率が異常に高いような企業では、退職金の支給基準を「勤続3年以上」とすることにより離職に歯止めをかける役割を担います。

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