「メイカーズ革命」は全産業を変える

『MAKERS』著者のクリス・アンダーソン氏に聞く

一方、3Dロボティクスが何をやっているかというと、ソフトやデザインなどビット部分を無償で提供し、アトム、つまりリアルな商品を有料で販売している。利用者は当社からではなく、当社が公開しているソフトなどを使う別の会社から商品を購入することもできるが、利用者の99.9%は当社製品を買ってくれる。ビットを無償提供し、アトムを有料で販売するというモデルは今のところうまくいっている。

――メイカーズ革命は既存の製造業界にどんな影響を与えるか。既存業者がメイカーズ革命を戦略的に利用することはできるか。

米国では、自社のデザインを公開して、それを外部の人々に改善してもらうといったオープンイノベーション的な実験をする企業が増えている。ゼネラル・エレクトリック(GE)やフォード、インテルなどハイテク企業にもこうした動きは広がっている。これが将来の主力事業にならなくても、オープンイノベーション的な取り組みはメイカーズ革命に参加するよい機会になるだろう。

たとえば、ある企業はアイフォーンケースのデザイン用のCADファイルを公開し、ネット利用者からケース用のデザインを募った。その中のベストデザインを製品化しようと考えたわけだ。大企業にとってこれが将来の主力事業になることはないだろうが、オープンイノベーション的な試みはメイカーズ革命に参加するよい機会なのではないか。

ただ、大企業は秘密主義であり、自社技術やデザインを公開することに後ろ向きだ。メイカーズ革命はこれとは逆に、技術などすべてを公開し、コミュニティを利用して製品化を進めていく。大企業にとって顧客など自社の従業員以外と商品開発や製品化を進めるのは容易なことではない。

次世代技術の開発はメイカーズが主導する

――伝統的な製造業の多くは社内に研究開発組織を持ち、毎年巨額の予算をこれに充てている。オープンイノベーションが進展した結果、こうした企業内研究は衰退するか。

たとえば半導体の研究開発のように素人にはできず、引き続き企業内研究が重要となる分野は残るだろう。

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