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社会が求めるスキルと大学教育の間のギャップは埋まるのか。今年の東大の入学式の様子(撮影:梅谷秀司)
新経済連盟の就職・採用活動に関する提言をめぐるインタビューの後編のテーマは「教育」。働いていくためには、自分が持ったスキルを活かす必要があることは当然で、教育は仕事と切っても切り離せない。しかし、「大学の勉強は、必ずしも社会で役に立たない」と感じている学生は少なくない。今回の提言の中でも、「大学で何を教えるべきか」を改めて考え直し、実学系科目を重視することが提案されている。
インタビューの前編で、新経済連盟理事でクラウドワークス社長の吉田浩一郎氏は、将来的に生き残れるのは、「人間とロボットを含めて世界がどうなるのかを考えて、その中で、人間としての自分がどのような立ち位置になるのか」を見通せる人材だと語る。話題は教育問題から「格差」論へ。
従来型の大学は、社会に最適化されていない
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――提言では、大学で学ぶ「学業」について、「学生が社会に出てから役立つことを学べる環境を整備すべき」とされています。やはり今の教育は、社会で求められるスキルに直結していないという実感をお持ちでしょうか。
従来型の大学のスタイルは、この現代の社会において必ずしも最適ではない部分があることは、事実だと思います。大学教育のあり方自体が変わらないといけないタイミングには、明確に来ている。
ただ、自分のスタンスとして、単なる批判者とか客観視する分析家になるのは嫌なんですよ。当事者として社会問題の解決を志向することは、経済人としての責任だと思っています。例えば、「今の大学のあり方を変えてくれ」とか、「今の教員のあり方を変えてくれ」といっても、今現在、教育をやっている人たちが既にいるわけじゃないですか。「教育のあり方って何だ?」って、企業の側から考えるのが、「社会の最適化」としては一番現実的なのではないかと思います。
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